ぼくはこのブログでたまに、じぶんのことを「真面目で神経質な性格だ」などと書いたりしています。
ここ数日、急激に体調を崩してしっかり休んでいるうちに、なんだかいろいろと思い出しました。
は?
だれが、真面目で、神経質だって?
正確にいうと、ぼくが真面目で神経質になったのは、パニック障害を患ってからだったのです。
いや、というよりも、もっと正確にいえば、ある日を境に「真面目にやろう」と思いたってから、パニック障害になり、神経質になり、まじめになった。
パニック障害を発症したのは、我が子が生まれて間もない頃だったんです。
いわば、幸福の絶頂期でもあった。
どうしてこんなに幸せなときに、そんなヘンなことになるんだろう。
ぼくはこのことについて、こんなふうに考えてしまったのですね。
「ほっとして、気が緩んだからかもしれない」
違うんですね。
熱にうなされながら、なぜか思い出したんです。当時のことを。
むしろ、真逆だったんですよ。
人間は、じぶんの記憶と、じぶんの過去を、美化しようとする傾向があるんですね。
逆だ。
ぼくはとっても、不真面目だったのです。
もちろん仕事はしていましたし、毎日会社に行っていましたけど、常々こんなふうに考えていたんです。
「できるだけ楽をして、稼ごう。」
営業に行ってきます、そう言って、ぼくはネカフェみたいなところに直行して、寝ていました。
「あした、直行しまーす」
とか言っといて、しっかり一日家で寝ていたり、遊びにいったりしていました。
そんな感じでも、営業成績はそこそこ上がっていたんですね。
すべきことさえ押さえておけば、ほかの時間は、遊んでいても良い。
ていうかむしろ、くそまじめにやっている人のほうが、営業成績は伸びなやんでいました。
あたりまえですよね。
お客さんは、どうせ同じ話を聞くのなら、面白いやつと話がしたいです。
それならたくさん遊んでネタをいっぱい持っていて、話が面白いひとのほうがいい。
目の下にクマができていて胃が悪そうな、ヘロヘロなやつよりも、元気に溢れた人と話がしたい。
それに、まじめなひとは、金にうるさいイメージもあります。
なんだかいい加減そうで、愛想だけよくて、ちょっとバカそうで、ノリが良くて、話が面白い人は、売上のことばっかり考えてはいなさそう。
そんなイメージもあいまってか、適当にやっていたほうが、かえって売上は上がるのでした。
そのままで、よかったのです。
しかしぼくは、娘が生まれて、我が子と初対面したときにこう決心したのです。
「いい加減にやるのは、もうここまでだ。これからは心を入れ替えて、まじめにいこう!」
それから5年。
ぼくは突如パニック発作を発症してしまいました。
向いていなかったのですよ。
「まじめ」が。
真面目にすることじたいにも、疲れたし、なによりも、真面目にすればするほど、売上は落ちていきました。
ストレスが増える、酒の量が増える。
こんなもん、カラダ壊して当たり前だったのです。
新規営業に行くときに、むかしは「受付に可愛い女の子がいるところ」を探して回っていました。
そうすれば、イヤなことでも、すこしは楽しみが増えますからね。
機嫌よく、仕事ができるのです。
そしてすげータイプの女の子がいる会社なら、理由をつけて、何度でも足繁く通うことが楽になります。
しかし「真面目になろう」と決心してからは、ターゲットとなる会社をリストアップし、業態を分析し、売上を調べ・・・というようなことをして「効率的に」回ろうと考えるようになりました。
そうしたら、どうですか!
売上減っちゃったよ!
ストレス増えたよ!
よく考えたら、そんなもん、いくら調べ上げたって、考えたって、売れるかいやアホンダラが。
それで売れるんなら、事務員でもできるもんなあ。
そんなしちめんどうなことをするよりも、直接会って一発「つかみ」で笑わせて、お客さんに「あいつ、また来てくれないかな」と思わせたほうがマシです。
業者との打ち合わせは、お客さんの担当者にとっては業務の一環なのです。
だからその時間をすげー楽しい時間にしてあげたら、お客さんは大義名分で休めるということ。
売りに行くんじゃない、友達を増やしに行くんだ。
信頼されに行くんじゃない、モテに行くんだ。
そんなぐらいなほうが、じぶんも楽しいし、お客さんも楽しいし、結果、売れる可能性はすこし高まる。
真面目なんぞ、くそくらえじゃ。
真面目にやろうとすると、真剣になると、いつも体調を崩す、成績が落ちる。
向いてなかったんだ。真面目に。
楽しくなければ、なんにもできない。
そんな、不完全な人間だったのです。
気がついて、思い出して、よかった。
仕事なんてものは、一種の暇つぶしみたいなものですからね。
暇つぶしを、嫌なことでやるひとは、たぶんあんまりいないもんね。
仕事みたいなものを、重要だ、生きる糧だ、義務だ、使命だ、素晴らしいことだだなどと勘違いしはじめたら、いっぱつで病気する。
あたまもおかしくなる。
そんな大したことは、してねーっつーの!
地軸の角度を0.1度すら変えられないその仕事を、年収1億にも満たないミニマルなその仕事を、そんなに過大評価するなんて、それ要するに、おまえのオナニーだろ。
そう思いたいだけなんだろ。
仕事は楽しければ、たとえ売上がゼロでも、そのひとには1兆円の価値がある。
仕事が楽しくなければ、それは仕事してないっていうこと。
もう、それでいいや。
真面目なことは、まじめなひとがすれば、それでいい。
そのために、こんなにいっぱい、人がいるんだ。