元気があるかどうかの個人的なチェック項目に、
頻繁に椅子であぐらをかいているかどうか
頻繁に足を組むかどうか
というのがあります。
元気がなくなってくると、ぼくは高い確率で椅子の上であぐらをかいたり、足を組んだりするようになります。
なぜ、あぐらをかいたり、足を組んだりするようになるのか。
それは、腰の力が抜けて、いわゆる「腰抜け」になってしまうからです。
腰がまるくなってしまって、姿勢を維持しにくくなるので、安定させるために足を組んだりあぐらをかいたりしてしまうのです。
よく整体系のサイトで「足を組むのは骨盤が歪んでいるからだ」という話がありますが、きっとそれだけではないと思います。
腰抜けになると、足を組んでしまうようになります。
そして、ではなぜ、腰抜けになるのか。
この、腰抜けめ!
と、臆病な人を揶揄したり励ましたりするときに、よくそういう言い方をします。
だからつい「精神力が足りないから腰のちからが抜けてしまう」のかな、と考えてしまいがちです。
あるいは姿勢のクセで、意識が足りないからだという説もあります。
または、これはメジャーですが、骨盤がゆがんでいるという説もあります。
でもたぶん、これらは全部、正しくないと思う。
ネットで流通している話には、ホネのズレ、筋力などの話が横行しています。
これはたぶん、SEOを行っている整体医院の広告というバッファが強くかかっているためだと思います。
おそらく最も大きな問題は、以下のことだと思うのです。
肝と腎のはたらきが弱くなっている。
肝、腎、というのは、肝臓や腎臓という意味でもありますし、もう少し広範囲の「肝臓や腎臓のはたらき」という意味でもあります。
東洋医学の概念ですね。
一般的にも、とても重要なことを「肝心」ということがあります。
そしてこの字はまた「肝腎」とも書きます。
おそらく、読みからして本来は「肝腎」だったのが、似た意味と読みの字に差し替わったのではないかと思います。
「心」もまた、たいへん重要ですからね。
ちなみに今年の春は、とにかく具合がわるかったのです。
のぼせ、手足の冷え、動悸、ふらつき、立ちくらみ、息苦しさ、不安、恐慌、冷や汗、などなど、自律神経失調症の症状オンパレードでした。
なにをしたって良くならなかったんだけど、「これは【肝】の疲労ではないか」と思い、肝を癒やすことを続けてみました。
・少食(空腹にならない程度に)
・良質のタンパク質をとる
・強い運動はせず、できるだけ安静にする
・目を酷使しない
・冷やさないようにする
・夕食の量をへらす
・塩分を控える
・しっかり寝る
などなどを続けていくと、徐々に症状はマシになってくるのでした。
やはり【肝】が疲労していることが、大きな問題だったのかもしれません。
肝が疲労すると、同時に腎も疲労するようですね。
おそらく、相互に依存しているところがあるのだと思います。
非常に腰が痛くなったりします。
「肝腎」のパワーが低減してくると、やはり姿勢も「腰抜け」になっていくのでした。
腰に、しっかり力が入らない。
椅子でつい足を組んだり、あぐらを組んだり。
腰にちゃんと力が入らなくなって、背中が丸くなってくるんですね。
しかし、徐々に元気になってくると、自然と足を組んだりあぐらをかいたりする回数が減ってきます。
背中が丸くなるのも、なくなってきます。
やっぱり姿勢というのは、骨とか筋肉とか重心とか意識とかの話ではなくて「内臓機能」の話だったんだと思いました。
姿勢というのは物理的な構造理論ではなく、人体という生命の機能理論なのだと思います。
「筋トレをして腹筋・背筋を鍛えれば良い」
「骨盤矯正をすればよい」
「骨盤を立てるよう意識しなければならない」
はっきり言う。
これらはぜんぶ、短絡的な考え方だと思うのです。
ヒトのからだを、まるで単純で無機的な機械や模型、建物のように捉えている傾向があります。
足を組んでしまうのには、組む理由がある。
その理由のほうを改善せず、骨盤だの骨だの筋肉だの、アライアンスばかりをいじり回すと、一時的に姿勢は良くなるかもしれないけど、それこそ「肝腎の」生命機能をかえって損なう恐れがあるかもしれません。
姿勢は骨格によって維持されているのではなく、内臓諸機関の正常機能によって保持されているからです。
だからこそ、健康な小さな子どもはべつに筋力がそれほどなくても、自然と良い姿勢を維持できています。
最近の子供に姿勢の悪さが目立つのは、教育や筋肉だけの話ではなく、ストレスが多かったり、食べすぎたり、甘いものをとり過ぎたりして「肝」「腎」が疲労してしまっているんだと思います。
ビンタしても、背中に定規を仕込んでも、矯正器具をつけても、整体医院に通っても、おそらく意味はないと思います。
姿勢は生命力から生起するものだからです。
肝腎を元気にすれば、姿勢はきっと、正しくなると思います。
とくに「腎」が疲れていると、骨盤が後継して、腰猫背になると思います。
「心(心臓の機能)」が疲れていると、胸椎が曲がって背中猫背になるんだと思います。
姿勢は、生命力から生起する。
だから姿勢を矯正するよりも、内臓諸機関の疲労を癒やし、元気づけてあげることが肝腎なのだと思います。
そのためには、まず癒やすことだと思います。
鍛えることではなくて、癒やすこと。それが先なんだと思います。
ストレスもまた、肝と腎を痛めつけます。
飽食やアルコール飲料、甘味料もまた肝と腎を痛めつけるそうです。
鍛えて筋力をつけるまえに、まずは休もう。
必要以上に鍛えたがるのもまた、肝の疲労による「肝気亢進」なのだそうです。
鍛えているうちは、神経が興奮するので、なんだか元気になったように感じます。
でもそれは多分に錯覚で、下手すると「いのちの前借り」の可能性だってあります。
肝腎が、すこぶる健康、すこぶる元気。
そういう状態なら、鍛えてもおそらくまったく問題はないのだろうと思います。
しかし肝腎が弱っているのに鍛えるのは、傷口に塩を塗るような行為だと思います。
筋肉痛はまた、肝を酷使するからです。