やっぱり日本はどんどん、良くなってる。

先週、Huluで「今日から俺は!」というドラマを観てて、確実に思った。

やっぱ日本って、どんどん良くなってるな

と。

思い出したんですよ。

 

今の若いひとたちは知らないだろうけど(ああ、こんな言葉を使うようになったんだなあ俺)、1970〜80年台って、むちゃくちゃだったんですよね。

ちょうどぼくが生まれたあたりですけど。

まずは、環境がむちゃくちゃでした。

小学校には、バスケットゴールの上に「円盤」というサインが常備されていました。

それは表が青、裏が赤の巨大な円盤で、円盤が赤い日は学校が休みでした。

何のサインかと言うと、大気汚染のサインだったんですね。スモッグ警報。

70年台80年台はマジで「環境?なにそれ美味しいの?」てなもんで、工場からは真っ黒なケムリをモクモク出しっぱなし。

ヒトの健康よりも経済発展のほうが優先されてたんです。

都市部ではスモッグがひどくて、警報が出てわりとよく学校が休みになってました。

今考えたら、信じられないような世界ですね。

こどもの教育よりも、経済発展のほうが優先されてたんです。

 

汚いのは空気だけじゃありませんでした。

ガラも悪かった。

冗談抜きで、血のついた鉄パイプがけっこうそのへんに転がっていました。

角材や金属バットを持ったいわゆる「ヤンキー」が闊歩していて、彼らが学校同士で大戦闘を繰り返しているのを、当時小学生だったぼくは何度も見かけました。

ぼくの家の目と鼻の先で、血まみれの乱闘があったこともあります。

ぼくが行く予定にしていた中学校は、これは全然大げさじゃなくて、学校の窓ガラスが1枚もない時期がありました。

不良どもが全部カチ割っていってたんです。

中学生が、ですよ?

これも今では、信じられないですね。

気の弱いぼくが柔道部に入ったのも、そういえばこの環境が原因だったことを思い出しました。

ほんとうにマジで凶暴な中高生がたくさんいたので「自分の身は自分で守らねば」と思ったんです。

強くなりたいとかカッコイイとか、そんな甘っちょろいことじゃなくて、のっぴきならない動機だったんです。

最近平和すぎて、動機すら忘れてましたよ。

 

中学や高校に入っても、まだまだ不良はたくさんいました。

何十人もの学ランを着た不良が、校門前に来て「アタマ」を呼び出して路上で大喧嘩、というのも、ほんとうにありました。

ぼくは神戸しか知らないから、どうなのかわからないんだけど、全国的にその傾向はあったんじゃないかな。

とくに、都市部では。

 

僕自身も何度も不良にからまれました。

しかしそのたびに、ほとんどなぜか「柔道部の先輩」がたまたま近くにいて、全部助けてもらいましたねえ。

ぼくは軽量級なのでヒョロいですけど、先輩は重量級でクマみたいな人ばっかり。

先輩が近づいてきただけで、不良たちはみんな逃げていきました。

そしてぼくには不思議なチカラもあるようで、一人でいるときに数人の不良に絡まれて胸ぐらをつかまれていても、なぜか決まって最後の方には「もうええわ!」といって、みんな帰っていってしまうんですね。

ぼくは一切悪態をついたり、抵抗したり、殴ったりしていません。

「カネ出せコラ!」と言われたら相手の目をじっと見て、相手の声よりも大声で「絶対にいやです」とハッキリ言っていただけです。

そしたらみんな、なぜかすぐにあきらめてくれるんですよね。

そういえば、蹴られたことも、殴られたこともありませんでした。

ああいう人たちって、相手が本気かどうかを見抜く才能があるんだそうです。

だから「ぜってーに金払わねえぞ」と思っていたら、案外わかってくれるんですね。

「お金持ってません」とか「勘弁してください」は、相手があきらめるまで時間かかるんだよなあ。

大声で「いいえ、払いません」が統計上もっとも早くあきらめてくれます。

 

ちなみに、彼らは紋切り型に「関係ない」をよく使うんですよね。

たぶん「関係性の理解」という、複雑な認知があまりできないっていうか、苦手なんだと思うんです。

お金ありません、っていっても、「関係あるかい!」ってすぐ言うんですね。

いや、関係あるだろ。むしろ思いっきり今回のテーマの中核だろうが。ばかかお前は。

理解できないんだなあ。残念だけど、きっとそういうアタマなんだと思う。

だからこっちも「理論と関係なく」払わない、っていうことを大声で言わないと、理解してもらえないと思うんですね。

こっちだって、お金あるとかないとか、そんなの関係ねーわ。

払わんといったら、お前には一円たりとも払わん。

それぐらいしか、きっと理屈がわからないんだ。

結構よく絡まれたけど、この方式を押し通した結果ぼく自身は不良と喧嘩をしたこともカツアゲされたことも、一回もありませんでした。

ちなみに、これはぼくの肚が座っていたとかじゃないです。

そういうフリこそしていましたが、内心、超ビクビクで、心臓もバクバクでしたよ。泣きそうでした。

 

さておき……

も、最悪ですよね。

こんな世界。

娘に話したら「信じられない」と言っていました。

よく、言うんですよね。

「不良は減ったかもしれないが、もっとタチの悪い事件が増えてる」

うそつけ。

鉄パイプで人をマンキンで殴りまわって瀕死の重症にさせるような事件が頻繁に起きていたんだぞ。

これを「タチが悪い」と言わずして、なんのタチがわるいんだ。

たしかに小さな子どもを惨殺するような事件は最悪だけど、数が違うよ数が。

毎日起きてたんだぞ!

 

これよりちょっと前の日本では、大学で「学生運動」とかがあって、ぼくの親父は警察官なんだけど、父の同僚が学生の投石を受けて亡くなりました。

まだ30代だったと思う。

殉死なので何階級か特進した、って言ってたなあ。

そんな話を聞いて、小学生のガキながらに思ったよね。

「死んでから出世して、なにが楽しいんだ」

 

マジな話、スモッグのせいだったんじゃないのかなあ。

人間があんなに凶悪になるなんて、ちょっと普通では考えられないですよね。

確かに当時はそんなのが「流行ってた」ところはあります。

でもいくら流行だからといって、殺人鬼みたいになるかねえ。

ぼくはたまに「今の日本の水道には鎮静剤が含まれているんじゃないか」とさえ思うことがあります。

もう、人種が違うよね。いまの学生は。

だから思うんだ。

スモッグのほうに、何かヒトを凶悪化させる成分があったんじゃないかな。なんて。

知らんけど。

 

ちなみにぼくが通っていた小学校のすぐとなりには廃墟の異人館があって、たまに肝試しで友人たちと入り込んで遊んでたんだけど、中には注射器がいっぱい落ちてました。

当時は知らなかったけど、あれ完全にヤクだよね。

病院の廃墟じゃなくて、ふつうの洋館だからなあ。

注射器は、そのへんの空き地でもしょっちゅう落ちてました。

 

とにかく、むちゃくちゃだったんだよなあ。

「昔は良かった」的なことを気楽に言うひとがいるけど、そういう人達って、身の回りに不良とかヤクザとかいなかったのかなあ。

今の日本って、当時から考えたら、別の国みたいに平和になってるんですよね。

あの例の「窓ガラスが一枚もない」中学校なんか最近、近くをとおりかかったら、生徒たちが「おはようございます!」ってみんな頭下げるんだよ。

かわいい。

あんなのが昔、校舎の中でヘルメットかぶってバイク走らせて、バットで窓ガラス全部割って回ってたんだよなあ。

なんだったんだ、あの時代は。

 

なんかもう、これを思い出したら、文句言うのよそうって思った。

日本とか社会の、わるいところばっかり揚げ足とって、文句ばっかりいうやついるけど、たまには昔のこと思い出せばいいのに。

安全で、空気もきれい。

そのへん歩いてるだけで、後ろから鉄パイプでぶん殴られることはない。

ドブ掃除をしたら大量に注射器が出てくることもない。

「絶対に行ってはいけないエリア」も、ほとんどなくなった。

もういいよ、じゅうぶんだよ、それで。

年金とかダメになっても、もういいよ。

ぼくの自律神経の具合がわるいぐらい、全然いいよ。

 

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