シンキン・ストラット

人間のカラダには伸筋と屈筋があります。

ひとによって、この両者の使い方の比率が違うんだそうです。

伸筋は、関節を伸ばすのに使う筋肉で、屈筋は縮ませるのに使う筋肉。

 

ぼくは最近自律神経がおかしいだーの、更年期障害かもしれないだーの、たまにウツっぽいだーの言っております。

で、気がついたんですけど、ぼくはいつからか「屈筋人生」を送るようになってしまっていたんですね。

伸筋よりも、屈筋のほうをよく使うようになっている。

っていうか、伸筋が弱くなってる。

 

どうも、屈筋のほうが強くなってしまうと、神経的な異常が多くなるんじゃないか、っていう気がしているんですよね。

まっすぐでよい姿勢っていうのは、伸筋がちゃんと働いている状態です。

猫背になったり、円背になったりするのは、伸筋よりも屈筋のほうが優位になってしまっている状態。

背中がまるくなるとどうしても肩甲挙筋や広背筋の負荷が高くなって硬くなり、血行不良で脳への血流が阻害されてしまいがちです。

 

また人は緊張したり怒ったりガマンしたりすると、屈筋が緊張するようにできてるんですよね。

・手を握りしめる
・腕を曲げる
・腹筋が萎縮する
・奥歯を噛みしめる
・口を尖らせる
・ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)が硬化する
・太ももの内転筋が萎縮する

こんなことを常時するわけだから、ストレスが持続的にかかると屈筋のほうが強くなっていくのだと思います。

 

屈筋が強くなってしまうと、性格もそんな感じになっていきそうなんですよね。

屈筋は、いわば「閉じる」筋肉でもあります。

閉じる筋肉を多用すると、こころも「閉じる」傾向が強くなっていくように感じます。

いっぽう伸筋は英語では「extensor」で、伸びるというよりは「開く」筋肉ですね。

展く、というほうが正しいかもしれません。

伸筋のほうが優位だと、こころも「ひらく」ように感じます。

また、「ひらく」気持ちがのほうが多いと、伸筋が強くなっていくのかもしれませんね。

 

姿勢と気分に関しては優位な関係性があると言われていて、「ハイ・パワーポーズ」といわれる姿勢をとると、気分も強く、おおらかになるといわれています。

ハイ・パワーポーズとは胸や腰を反らせるような姿勢のことで、つまりこれも「伸筋優位」の状態に持っていくということです。

 

気が弱く、ネガティブで、女々しくて、臆病で、気力のない感じの人というのは、おおむね「屈筋型」のように見受けられます。

おなかや胸を抱え込むような、あるいは重力に負けて背中が曲がっていくような、そんな姿勢のひとが多い。

そんな姿勢だと酸素も充分に摂取できないだろうから、さもありなんというところですね。

神経的な異常を訴えるひとも、そんな傾向があるんじゃないか。

 

ぼくも神経のことでグズグズいいはじめたのは、屈筋主体になってからのような気がします。

屈筋が強くなったというよりは、運動不足で伸筋が極端に弱くなってしまった、というほうが正しいです。

比率が屈筋のほうに寄っていってしまったんですね。

 

「日本人は屈筋民族である」

というようなことをたまに聞いたりするけど、ぼくはこれは「完全に間違えている」と思います。

日本人が屈筋主体である証拠として、「のこぎりを引く」ということを言います。

ぼくは思うんだけど、こういうことを言うひとって、のこぎり引いたことないんじゃないかなあ。

じつは日本の刃物って全部「引いて」使います。

実際にやってみたらわかるけど、「引く」っていうのは、じつは広背筋や三角筋という最大の「伸筋」

を使わないとできないんですね。

むしろ押すほうが、屈筋をよく使います。

のこぎりを引くと、見た目は腕が曲がったりするから、屈筋を使ってるとでも思ったのでしょうか。

日本の武道もそうですね。

屈筋よりも、伸筋の使い方がとても重要とされています。

柔道では引き手・釣り手というのがあって、とくに引き手が最も重要と言われています。

これは完全に、広背筋や三角筋、つまり「開く筋肉」を使うんですね。

空手も「突き」で重要になるのが広背筋です。大胸筋や腹筋はパワーのためというよりは、どちらかというとベクトル補正や安定のために使われるそうです。

もちろん全部使うんですけど、とくに伸筋の使い方が重視される、ということですね。

相撲も剣道も合気道も、伸筋の使い方によって強さが分かれるところがあると聞きます。

また日本舞踊などでも、腰は落としても背中を丸くすることは禁止で、竹のようにまっすぐな姿勢を推奨されています。

だから日本の文化風俗からすれば、むしろ日本人は典型的な「伸筋型民族」のような気がします。

 

ちなみに、胸を開いて堂々とふんぞり返って歩くさまを「ストラット」というんだそうです。

気が弱く、理屈っぽく、臆病で、女々しくなってきたときには、意識してストラット歩きをしてみてもいいかもしれないですね。

ストラットに歩くためには、伸筋が強くないとできませんから。

伸筋を鍛えるのも、いいかもしれませんね。

 

 

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