「これをしたら、妙に神経がおちつく」
「これをしたら、異様な神経過敏がマシになる」
そんなことが、いくつかあります。
・掃除(とくに拭き掃除、掃き掃除)
・散歩(目的がなく、「ついで」でもない、ただプラプラするやつ)
・姿勢を正しくする
・呼吸を下腹に落とす
・無音
・腹八分目の食事
・座禅(目的がない場合)
こうして見てみると、あのパニック発作的な怒涛の興奮状態を抑える、あるいは改善するものごとは、どどうも「禅的な」という共通項があるのかもしれないな、と思いました。
ぎゃくに神経が過敏になり、パニック発作が頻発するようになるものごとは、以下のようなことです。
・強い運動(とくに目標設定をした場合)
・目的のある外出
・健康のためという意図のあるヨガ
・音楽、動画、テレビ、ネット、ラジオを流しながらの仕事
・急ぐ
・猫背でデスクワークを続ける
・不潔な、悪臭のする部屋に長時間いること
・スマホやパソコンを長時間つかう
などなど。
夢と希望を胸に、勝利のために、達成のために、ガンバルのだー!!!
期待、わくわく、情熱、感動。
準備、予防、伏線、戦略、計画、算段。
楽しい、うれしい、おもしろい、刺激的、スペシャル、驚き。
期限、限定、特別。
……っていうものごとは、残念ながらどうも神経をコーフンさせ、パニック発作的な不安状態を助長してしまうようなのですね。
ぎゃくに「淡々と」「気持ちも、愛も、情熱も込めない」「ただ、ただ、行う」「目指さない」「つまらない」「ふつー」ということが、どうやら神経を強く安定させてくれるようなのです。
まあ、考えてみれば、あたりまえですけどね。
ぼくは広告系のしごとなので、そんなコピーを書かされたこともけっこうありました。
「限定20個! 今回限りの特別限定価格!」
「驚きの効果が!」
「このあと、衝撃の事実!」
「秘密は○○にあった!(伏せ字を使って期待を煽る)」
こういったコピーを考えていると、気が滅入ってくるんですよね。
こういうのを、ぼくたちのあいだでは「脅迫文」と呼んでいます。
期待をもたせ、限定的で、タイムリミットのイメージを植え付け、不安をあおる。
脅迫型広告の典型は、最近Webサイトでも多用されます。
脅迫によってめばえた不安は行動を促進し、ひいては購買意欲にも結実するのです。
だから戦略としては、間違ってはいません。
しかし、倫理と品位の問題はあります。
ひとの心理をもてあそび、不安にさせて、行動をコントロールしようとする。
ひとことでいえば、これは「悪魔の所業」なのです。
だからぼくは、脅迫型広告が大嫌いなのです。
こういったコピーを見出しに利用してアクセス数を稼ごうとしているブログサイトなどを見ると、虫唾が走る。どんなに興味をそそられても絶対にリンクを叩きません。
また脅迫文を用いた広告の商品は、ぜったいに買いません。
売れないから、読んでもらえないからこそ、脅迫文などという姑息な手段を使うのです。
機会があれば注意して観察すると面白いですよ。
りっぱな企業や善意あるサイトは、このような脅迫型広告はまず行いません。
会社の品位を下落させるからです。
脅迫型広告を多用している会社は、怪しい会社が多く、商品も怪しいものばかりです。
信用のない会社こそ、脅迫型広告を好みます。
脅迫してモノを売りつけることがどういうことなのか、を想像できないことを「ゲスい」というのです。
そんなセコい、チンコちっさいことをしているような商品や人、会社に接すると、じぶんもそうなってしまいそうなので、個人的には近寄らないようにしています。
話は逸れましたけど、つまり「興奮を煽るものごと」というのは、装飾を全部取り払ってしまえば、骨格は「脅迫」なのです。
そのようなものごとに常時接していると、神経も脅迫的になり、興奮が冷めやらぬのも当然といえます。
今の日本は資本主義で、経済主義だから、こういったことを完全に避けることはほぼ不可能です。
ブログはかつては個人の趣味の一環に過ぎないものでしたが、現在はアフィリエイトなどという夢物語に魂を汚され、素人のブロガーさえもがこのような姑息な手段を使い始めています。
もうネットさえもが、脅迫に満ちています。
テレビや新聞、ラジオなどは、ずいぶん前からこの調子です。
だからこそ、ときには「無脅迫」の世界で休息することが必要なんだと思います。
それこそが、ずばり「禅的なものごと」かもしれません。
無音、無感動、質素、簡潔、色気なし、面白みなし、起伏なし、当然自然のことばかり。
そんなもん、なにがオモロいんじゃ!
全然アカンやんけ!
などというふうに思ってしまうのは、もうすでに「脅迫されている」のだと思います。
洗脳されちゃったんだよな。
脅迫されて、面白くないとだめ、可愛いのが正義、刺激がないと無意味、ワクワクが必要、などと思うようになってしまった。
うそつけ。
この世の80%は本来、あたりまえのことでできています。
だからこの世のほとんどは、面白くもなければ、刺激的でもないのです。
しかしこの80%を「心地よい」と思えるようになれば、魔法のように、この世界は天国に早変わりするのですよね。
毎時、毎日、刺激ばっかり受けてしまって、神経が暴走してるんだと思うんです。
たまには「なにもない」時間と空間が、ひつようですね。