原因不明の息苦しさや不安感。
動悸、めまい、いらいら、落ち込み。
そういうのって全部やっぱり、姿勢がわるいからだったかもしれません。
「姿勢がわるい」と言われたことは、ほとんどないんですよね。
むしろたいへん良い姿勢をしている、と言われることのほうが多いのです。
なのに、なぜ!?
なんのことはない。
当然、ともいえます。
ぼくが姿勢について評価を受けたのは、ヨガ教室であったり、姿勢矯正専門医であったり、整形外科であったり、マッサージやさんでした。
「じぶんの姿勢を見てもらうとき、どうしていたか」
これを考えててみれば、当然至極だったのです。
だれかに姿勢を見てもらうから、よい姿勢をとっていたのでした。
よい姿勢をしていたから、よい姿勢であると言われたんですね。
あったりまえやっちゅうの。
だいじなのは、ひとに見てもらう姿勢ではなくて、ふだんの姿勢なのです。
なのにぼくときたら、「先生がよい姿勢と言っているのだから、ぼくはよい姿勢なのだ」と思い込んでいたわけです。
たしかに、「よい姿勢をとれ」と言われたら、よい姿勢になるのです。
だからこの点については、良いことなんだと思います。
そもそも関節とか背骨が柔軟なので、わりと思った通りの形になるんですよね。
しかし重要なのは「ただしい姿勢ができるかどうか」じゃなくて「ただしい姿勢で生活しているかどうか」っていうこところです。
よい姿勢ができるからといって、良い姿勢で生活しているとは限らない。
ぼくはまさに、これだった。
パソコンでデスクワークをしているとつい足を組んでしまって、顔面をモニターに近づけるようにしてアゴが上がってきて、背中や腰が丸くなる。
その状態で、3時間も4時間も5時間も6時間も作業をするのです。
だからぼくは、生活全般でいえば「わるい姿勢」だったのです。
坐禅をするようになってから、じぶんがいかに普段わるい姿勢であるか、ということが身にしみてわかりました。
幸い、良い姿勢を形成することじたいは可能なのです。
だから比較することができるんですよね。
ひどいもんです。全然ちがうんだもの。
自律神経がおかしいだの、男性更年期障害かもしれないだの言ってたけど、結局はわるい姿勢を継続しすぎて血行不良や酸欠になっていたんでしょうね。
坐禅をするようになってから、肩凝りや腰痛がなくなってきているんですよね。
これは多分に姿勢が原因だと思います。
まっすぐな姿勢ならアタマとかの重量が筋肉じゃなくてホネにかかるから、筋肉が傷まないんですよね。
意図的にいつもやっていた「足を組んで背中を丸め、アゴを突き出した姿勢」をやってみると、1時間もしないうちに息苦しくなって、イライラ・ソワソワしはじめます。
立ち上がったらフラーっと立ちくらみがして、動悸がする。
しかし坐禅のときのように背中を垂直にもどせば、そのへんの症状はスーっと消えるのでした。
だから「治った」とかでは、ないのですよね。
わるい姿勢をとれば、また元通りになる。
しかし姿勢を正しておけば、症状は出にくい。
治った、治ってないという次元じゃないんですね。
姿勢がわるければ、たぶんだれでもそうなるんだと思います。
ひとつぼく独自の原因があるとするならば「背骨が異様に柔らかい」というところだと思います。
ぐにゃぐにゃなんですよね。
これは筋肉が少ないとか柔らかいとかいうのではなくて、そういう構造なんだそうです。
背骨の椎間板そのものが普通より柔らかくて、必要以上に曲がってしまうのです。
だからリラックスしすぎると、背中が極端に丸くなってしまう。
中学生のころから、ふしぎだったんです。
電車の中で居眠りするひとたちが、謎だったのですよ。
ぼくは電車で座って眠ってしまうとでろんでろんになって、隣の人に巻き付くぐらいに変形してしまうのです。
もたれかかってしまう、とか、そんな可愛いものではなくて、「へばりついている」といったほうが良い感じになります。まるでタコみたいに、でろんでろんの、べろんべろんになってしまう。
座っていられないぐらいなのです。
だから眠るときは席の一番端っこで、足を絡むように組んで、胴体や首を壁に固定しなければ「液状化」してしまう。
なのにみんなは、わりとまっすぐな状態で眠ったりするから、すごくふしぎでした。
「ほんとうはみんな、たぬき寝入りなんじゃないの」とさえ思っていました。
ちがうんだな。
人間の背骨って、ふつうはそんなに曲がらないらしいです。
でもぼくは、ネコのように液状化してしまう。
だから原則、気を抜いたらいかんのですよね。
リラックスしたらだれだって多少は背中が丸くなりますが、ぼくのばあいは「折れる」に近い。
とくに仕事中は気合を入れておかないと、姿勢がものすごく悪くなってしまうのでした。
姿勢は、だいじですね。
背骨が柔軟なことじたいは、わるいことではないのだそうです。
しかしこの柔軟性が裏目にでたら、「めちゃくちゃにわるい姿勢」にもなりえる、ということです。
アゴ引いて、脳天を天井に近づけて、腰をぐっと入れる。
すくなくとも仕事中は、意識していこうと思います。