前からウスウス気がついてはいたんだけど、毎日坐禅するようになったら、明確にわかるようになってきました。
おれは腰抜けだ。
いや、もう悪口でいいですわ。
もっと罵って頂戴!
腰抜けなの、あたし。
人体と精神って、きっと連動していると思うんですよね。
柔道を一生懸命にやって筋骨隆々だったころ、ぼくは自信にあふれていて、細かいことはそんなに気にならなくて、病気や怪我なんかちっとも怖くなくて、人生はなんとかなるに決まってると信じていました。
しかし柔道をやめて体力が落ち、筋肉が落ちてくると、いろんなものが怖くなってきました。
ずいぶん頑張らないと生きていけないような気がしてきて、ささいなことにいつも気を取られて、いちいちビクつくようになりました。
口ではエラソーなこというわりに、じつは勇気がなくて、腹の底ではビビりまくっていたり。
性格とか、経験とか、遺伝とか、そんなのたぶん、関係ない。
もともと勇猛なひとでも臆病になることもあれば、もともと臆病なひとが勇猛になることだってある。
その大きな原因のひとつが、やっぱり姿勢だと思うんです。
腰が抜けて、骨盤が後ろに倒れて、背中がまるくなって、アゴを前に出したような姿勢。
これをずっとずっと続けていくと、モノホンの腰抜けになることができるんですよね。
理屈っぽいくせに、行動力はない。
愚痴は多いくせに、ケンカを売る度胸はない。
平和主義だとかいうわりには、社会に対して文句ばっかり言ってる。
じぶんの健康とか寿命とかをだいじにして、リスクを負う覚悟で行動ができない。
オフェンスはあきらめて、ディフェンスオンリーで生きていく。
ああ、腰抜けだ。
ああ、腰抜けだ。
情けない!
性格とか経験が問題じゃないと思うんですよね。
要は、腰だ。
ほんとに腰が抜けると、腰抜けになっちゃうんだなあ。
腰抜けなんて、ヒトに対する最大の侮辱ですからね。
治せ!
「姿勢を正す」
長年腰抜けをやっていると、姿勢の正し方も忘れてしまっていました。
見た目は、まっすぐになっている。
でも「力が入っているところがちがう」のですよね。
背中と言うか、みぞおちの裏というか、そのへんに力を入れて、背中を伸ばそうとしてしまうのです。
これは、いかん。
これを長時間やると、息苦しくなって、呼吸が浅くなって、ぎゃくに怖がりになります。
動悸がしたり、息苦しくなったり、イライラしたり、のぼせたり。
これはいわゆる「威勢を張ってる」状態だと思うんですよね。
見た目はまっすぐで堂々としているようだけど、そのじつ、内情はガッタガタ。
安物の電化製品のように、見た目オンリーで中身はテキトー、みたいになってしまう。
ほんとは、力点はもっと下なんですよね。
腰を、ぐいっと反らせる。骨盤をぐいっと前傾させる。柴犬のシッポみたいに、ケツを後ろにくるっと巻き込む。ヘソを前に出す。
つまり「腰を入れる」。
で、背中にはあんまり力入れない。
そうすると、おなかで呼吸ができるようになって、肺活量が多くなって、気分が落ち着いてくるんですよね。
自然とアゴも引ける。
でもなあ。
長年「にせものの姿勢」を続けてきたせいで、ふと気がつくと、背中でまっすぐになろうとしてしまうのです。
ううむ、これはなかなか、手強いぞ。
腰抜けがクセになって、腰のチカラを喪失してしまっていました。
つらい。腰が、つらいよう!
この、腰抜けが!
自分を褒めてあげるのもいいけれど、ほんとにこればっかりは、怒鳴っていいと思います。
アカンもんは、アカンのじゃ。
姿勢ぐらい、ちゃんとせんかいや!
って、じぶんを叱ろうと思います。
シャキっとせえ。