デスクワークをしていると、どうしても背中が丸くなってしまう。
あるいは、デスクワークでなくても、なんか背中が丸くなって、猫背になってしまう。
この原因は、骨盤や背骨が歪んでいるとか、クセだとか、筋力の低下だとかいわれます。
どうだかなあ。
ぼくは最近、じつはものすごくしょうもないことが、猫背を作っているのではないかという気がしてきています。
それは「手や腕を前に出す」という行為。
手や腕を前に出すから、その重みで背中が曲がってくんだと思います。
だからできるだけ手を前に出さないようにする — コツとしては、肘を胴体からあまり離さないようにする — と、案外姿勢が崩れないのです。
肘が胴体よりも大きく前に出てしまったときに、猫背になっていくようなのです。
だからたとえば、手術をする前に外科の先生がよくやるあの、手のひらを内側にして、肩のあたりまで腕上げているような姿勢(実際にはあんなことしならしいけど)をすると、猫背が治ったりします。
あるいは、警察に取り囲まれたときに(警察に取り囲まれたことなんかないけどさ)、「武器持ってません!」っていう意思表示で、手のひらを前に向けて肩のあたりに上げる姿勢でも、猫背は治ったりします。
とにかく手が前に出ていると、猫背になりがちのようなのですね。
手を引っ込めると、猫背は治る。
ではなぜ、手がどんどん前に出ていってしまうのか?
デスクワークの姿勢は、だいたいこんな感じですけど、
この姿勢はつねづね、なにかに似ているな・・・と思っていたんです。
そう、「幽霊の姿勢」なんですよね。
手のひらを下にして前に出し、猫背になって、前傾姿勢になって、アゴが上がって顔が前に出てる。
吾輩は頭脳労働なのじゃ、とかエラソーなことヌカっしょるけれども、「幽霊の姿勢」なんですよね。
で、足は弱々しくて、あやふやなの。
幽霊って、未練があるから、出てくるんですよね。
なにかに、手を出したい。
なにかを、つかまえたい。
それがカタチになったのが、「手とカオを前に出し、背中をまるめた姿勢」なのかもしれません。
対象が仕事なのか趣味なのか怨敵なのか、それは知ったこっちゃないけど、ようするに過剰な「ゲットしたい欲」が、この姿勢を作っているのかもしれないな、と思ったのです。
ユーレイとおんなじ心境になっているんだよなあ。
なにかを捕まえようとか、得たいとか、手に入れようとか、そんな気持ちが強すぎる。
化けるぞ! そのうち!
気をつけろ!
「つよい欲」も、いいかげんにしておかないと、化ける。
成仏できない。
その「サイン」が、もしかしたら猫背なのかもしれないな、と思うんですよね。
猫背って、もう文字に「猫」が入っちゃてるからなあ、ヒトじゃねえもの。
前傾姿勢になって重心が前にあるということじたいが、もう落ち着きを失っているんですよね。
なにかをしよう、得よう、勝とうという気持ちがつよい。
手や肩が前に出ているのは、強欲のあかしなんだ。
ユーレイみたいにならないよう「手を前に出さない」練習をしていこうと思います。
手を引く。
四六時中、手でなにかをゴニョゴニョしてるから、あたまおかしくなるんですよね。
神経や脳をやすめるには「手をつかわない」っていうのも、良さそうです。
手を出すな!
手を引け!
それが「なにもしない」っていうことですものね。