人生舐めてるヤツを責めるほうがナメてる。

一時期、人生ナメてるようなヤツのことが腹たってしょうがない時期がありました。

もっとちゃんとせえや、ラクしようとすんなや、もっと悩めや。

そんなふうに思うようになってしまったのは、パニック障害をやってからですね。

 

パニックや外出恐怖で不自由になってしまい、それでも苦心して仕事を得られるようなってから、たぶん勘違いをしはじめたんだと思います。

人生はくるしいとか、つらいとか。

だから人生ナメてるような感じの人は、苦労をしていないように見えて、なんかハラタツっていう。

なんやねん、それただの「嫉妬」やないかい。

 

全然別件だけど「人生ナメんな」って言っているひとで、人生うまいこと行ってる人を見たことがない。

人生ナメてる人のほうが、よく出世したりするし、収入が多かったりする。

なんでか?

べつにそんなに、むずかしい理屈ではないんですよね。

ただそのままずばり「人生をナメられないようなヤツは、所詮その程度のヤツ」だからです。

つまんねえヤツなんだなあ。

 

「人生を、ナメない」とはつまり、どういうことなのか。

石橋を叩いてわたる、ということです。

「かもしれない運転」ばっかりする、っていうことです。

この先にはきっと悪いことがある、と予測しながら生きるということです。

つまりは、臆病なんだ。

こころが、恐怖に支配されている。

アレしたらこーゆー悪いことがある、コレしたら失敗するんじゃないか、そんなことばっかり考えてるんだよなあ。

そんなしょうもないやつが、出世できるわけねーだろーが。

 

臆病なだけでなく、傲慢でもあるのです。

人生をナメずに、ただしいことを着実に行うことだけが完璧性を向上させるとでも思っている。

そうかなあ。

正確性とか着実性ということを重視すると、創造性や革新性ということを犠牲にする必要がある。

ときには合理性すら反故にする必要さえある。

ぜんぜん、完璧ちゃうやんけ。

 

今読んでいる本に、けっこう面白いことが書いてありました。

「脳はいい加減にできている」。

脳というのは、かなり精密で高等なイメージがあるのですけど、そうでもないらしい。

わりと「つぎはぎだらけのポンコツ」なんだそうです。

情報伝達効率のわるいシナプスなどという素子を使っていてこれは伝達速度が遅いだけじゃなく、エラーも多い。

効率があまりにもわるいから、あんなにデカい脳みそになってしまったんだそうです。

視覚情報の処理のスキーマもグダグダで、どうしようもないから「ソフトウェア」でなんとか体裁をととのえてる。

情報そのものの処理に加えて、「ストーリー加算」というのを行う。

そのせいで錯覚とか死角というのがどうしても生まれてしまうのだそうです。

 

ただ個人的には、このポンコツぐあいが「冗長性」ということでもあるんだろうな、とは思います。

あまりにも無駄のない高速で精緻なシステムだと、故障に弱くなるというのもありますから。

グダグダなところがあるからこそ障害に強く、欠損部分の機能代理もわりとやりやすいというのはあるのだと思います。

いずれにせよ、脳がいい加減な構造をしているということは、そうなのかもしれません。

じぶんの脳みそがそもそもいい加減なのに、「いい加減はダメなのだ」とか、いったいどのクチがヌカしよるねん、っていうのはありますね。

 

ぼくが「人生をナメなくなった」のは、臆病になって意識が「内向き」になってしまったからです。

我が身を防御することのほうに、パワーを多く使うようになってしまった。

そこで、思うんですよね。

防御するために、臆病になる必要性も、臆病である必然性もないのではないのか」。

攻撃は最大の防御であるともいうし、必ずしもヒヤヒヤビクビクして、リスクをとらない道を選ぶことが「実質的な防御力」の向上になっているとは、限らない。

むしろ人生ナメずに縮こまって生きていくほうが相対的な防御力は低下するかもしれない。

だって、いくら予防線を張ったって、そんなに賢くないんだもの。

この世で起こりうるすべてのリスクを想定し、演算するような、そんな高度な脳みそ持ってない。

仮に寿命が1000年あったって、この世のすべてを知り尽くすことはできない。

その心配は案外「的外れ」なことのほうが、多いんじゃないか?

だって、バカなんだもの。

 

バカのくせに、えらそうに「人生ナメんな」とか言ってんじゃねえよなあ。

なーにが「私には経験があって・・・」じゃあ。

大したこともないくせに。

大したことないヤツに限って、じぶんの経験を後生大事にするんですよね。

これから先に経験を得る能力が乏しいから、過去に得た経験を守ろうとしてる。

そりゃあ、出世せんわなあ。

 

人生ナメてるやつのほうが、エラいんですよね。

ちゃんと、じぶんの価値を知ってる。

どうせバカなんだから、考えるよりも動くことのほうが大事だって知ってる。

考えたってなにも変わらなくて、動かないとなにも変わらないってことも知ってる。

知識や理屈は、弱いやつの武器だってことを知ってる。

経験は多いのがいいんじゃなくて、少なくても使うことに意義があるって知ってる。

じぶんがバカであることを知ってる。

こんなやつに、勝てるわけねえ。

「人生ナメんな」っていうやつは、そのうち人生ナメてるやつにナメられる。

やめよう。

人生ナメるのを、やめるのを、やめよう。

 

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