ぼくはずっと、自分のことを「ロング・スリーパー」だと思っていました。
よく眠るのです。
むかしは8時間以上眠らないと調子が悪かったし、よく昼寝もしていました。
しかし、これはかってな「思い込み」だったかもしれません。
どうやらぼくはとくにロングスリーパーということではないようなのだなあ。
かつては眠れば眠るほど調子が良い、と感じていました。
でもできるだけ思い込みや先入観を排除してよくよく観察していくと、実際には最適な睡眠時間があるということに気が付きました。
ぼくのばあいは、7時間半ぐらいでしょうか。
つまり夜の9時に寝て、朝の5時半に起床する。それぐらいがちょうどいい。
まあ実際には入眠まで時間があったりするので、実質は7時間前後かもしれませんが。
ともあれ、要するに、それ以上眠るとおかしいのです。
あたまが。こころが。
朝から妙にイライラしてみたり、へんな凡ミスを繰り返したり、へんな凡ミスをするじぶんにイラついたりして。
自律神経の失調のような症状も出やすくなります。
肩も凝りやすく、背中や腰などの古傷が痛んだりすることもあります。
これを治すのにかなり強度の高い運動か、ヨガなどをしなければなりません。
しかし睡眠7時間前後だと、あたまがスッキリしていることが多い。
覚醒するまであまり時間がかからなくて、スムーズに活動モードに移行できる。
肩もそんなに凝らないし、古傷も傷まない。
べつに必死こいてラジオ体操やヨガをしなくなって、かってに目も体も覚めていく。
すると凡ミスのようなこともしなくなって行動に無駄が減るので、イライラすることもない。
あたまがちゃんと回転しているから、妄想も減る。
一日が「いい感じ」になる。上機嫌である。
睡眠は、善か悪か。
この議論は太古の昔からあるけれど、最近の世論は「睡眠=善」というような方向にやや傾きつつあるように見えます。
かつては経済成長や動労推進、産業振興などの意味合いで「睡眠=悪」のようなプロパガンダがありました。つまり寝る間も惜しんで仕事や余暇に勤しめ、ということですね。
しかし最近はそういった考えは古臭いものになってきて、また医学的な検証も進み、どちらかというと「睡眠=善」という方向に傾きつつある。
しかし最終的な解答はおそらく「多すぎるのも少なすぎるのも良くない」という、てんで面白くない、あたりまえの結果になるのでしょう。
まあ、当然ではある。
つまり睡眠はほかの事象とまったく同じく「善と悪を包含している」と考えてよさそうです。
良い面もあるが、悪い面もある。
だから睡眠が足りなければその「良い面」の恩恵を受けられず、多すぎればその「悪い面」の影響を受けやすくなる。
睡眠の良い面はわかりやすいけど、悪い面とはなにか。
ここでは「人生がもったいない」などというしょうもない、便秘みたいなけ古臭い、ちくさい屁理屈はいっさい除外して、純粋に「睡眠が人体に仕掛ける罠」だけを考えてみる。
睡眠をとりすぎると、以下のような損害があると考えられます。
・長時間動かない =血行不良になりリンパ等体液循環、酸素循環もわるくなる
・長時間筋肉を使わない = 血流に心臓だけを使うことになり心臓への負担が増大する。筋力の低下、骨強度の減少
・低体温の時間が長い = 余剰エネルギーが蓄積しやすくなる、また自律神経の不調和を引き起こしやすくなる
・副交感神経モードが長すぎる = ウツや無気力、ストレス耐性の低下、からだや社会への違和感、アレルギー反応の強化などにつながり、覚醒モードへの移行がスムーズでなくなる。覚醒時モードに移行するのに神経への負荷が大きくなる
・非覚醒状態が長すぎる = 妄想の増加、連合弛緩の多発、感情偏重・主観偏重の強化、現実的思考の弱体化
睡眠が多すぎると、上記のような「罠」にハマりやすくなってしまうのですよね。
一説によるとHSPやウツなどはロングスリーパーに起こりやすいという話もある。
もしかしたら一部のパニック障害にも関係するかもしれません。
まあこれはトワトリかタマゴかという話にもなりかねないので、よくわかりませんけれどもね。
ただ確実にいえるのは、眠りすぎると思考や認知がどんどん歪んでくるということです。
ヒマだからといって眠ってばかりいたり、睡眠=善という妄想にとらわれて惰眠を貪っているとやはりふつうに害があるのだと思います。
この世に「これさえしとけば良い」というような魔法はない。
ただ、やはり体質によって「長めの睡眠時間が必要」という人はいると思うのです。
逆に短いほうが良いひともいるはずです。個人差はきっとある。
そこで、どうやらぼくは思い込んでいただけのようです。
ぼくは「ふつう」だった。
ロングスリーパーだと思っていたけど、じつは7時間前後がいちばん調子が良いという、典型的な平均野郎だったのでした。
ロングスリーパーのひとは、脳の一部に炎症があるという説もあります。
もしかしたら、お酒を完全にやめたので「ふつう」になってきたのではないか。
むかしはビックリするぐらいの大酒飲みでしたから、脳に炎症があっても不思議ではありません。
またお酒は睡眠を浅くするので、よけいに睡眠時間が必要になる。
お酒をやめたことで、適正な睡眠時間がノーマル化していった、ということはじゅうぶんに考えられますね。
眠りも、お酒も、どんなことでも、極端はだめ。
ま・・・当たり前なんですけどね。
どうして人間は、極端に走ろうとしてしまうのだろう。
じつは、いちばんの謎は、ここですね。