歯磨きと自律神経

毎日掃除をすることが習慣になってくると、自分自身のことにも注意が向かうようになってきますね。

丁寧に床や壁などを掃除していくと、ほかの細かいことにも気が付きやすくなる。

そこで鏡をふと見たときに、愕然とするのでありました。

「おわ、歯、きったね!」

部屋はきれいかもしれないが、歯はきたない。

いや待てコラ、それはアカンやろうが、てめえこの野郎、と自然に思うようになります。

 

歯が「まっ黄っ黄」だったのです!

え、なにこれ?

どゆこと?

これに気がついたのは、いまから約2ヶ月前です。

 

まあタバコを吸うからそのせいかな、とは思ったのですが、それにしても黄色い。

それにぼくはチェーンスモーカーではないですし、最近はかなり本数も減ってる。

色も、なんだかヤニっぽくないぞ。

 

……。

「血」だったのです!

こわーー!

あ、もー、コワーーーー!

 

もともと歯はかなり頑丈です。

歯を磨かなくたって、虫歯には一切なりません。

永久歯が生えてから歯医者さんのお世話になったのは1回だけで、その理由はバカみたいです。

飲み会で遊んでいるときに酔っ払って

「歯でビール瓶の栓を抜きまーす!」

とかいって、何本も歯で栓抜く芸をしていたのでした。

ていうかまあ、それぐらい丈夫ではあるのですね。

しかしそんなことをしていくうちに、とうとう歯が欠けた。

あたりまえじゃ!

なにをやっとんじゃ!

この、ばかちんが!

歯医者さんにいったら怒られて、欠けた奥歯に金属のカバーをつけられました。

 

さて、虫歯にならないのはじつはこの「歯の丈夫さ」とはあまり関係ないそうです。

口の中の「菌バランス」のほうが強く関与しているそうです。

虫歯菌と歯槽膿漏の菌は「相克」の関係にあって、お互いに殺し合うらしい。

だから虫歯のひとは歯槽膿漏になりにくく、歯槽膿漏のひとは虫歯になりにくい。

ぼくの口のなかは、歯槽膿漏菌のほうが優勢だったのだと思います。

そこで、「血」です。

ぼくの歯の「まっ黄っ黄」は、歯茎からの出血だったのでした。

たぶん軽い(かどうかはわからないけど)歯槽膿漏になっていたのだと思います。

 

そこで非常に神経質に丁寧に歯を磨くようになって、血が出ようが沁みようが関係なく歯と歯茎の間も重点的にワシワシと磨きました。

最初はけっこうな血が出ていたのですが、そのうち出なくなりました。

もともと歯磨きは朝夕の2回でしたが、昼食後も軽く磨くようになりました。

そうしましたら、歯の黄色いのがずいぶんとれてきたのです!

まあさすがに「真っ白」とまではいきませんが、一時期の「ドラキュラのような歯」からは卒業できました。

 

そしてわりと不思議なこともありまして、よくよく思い出してみると、ずっと微妙な息苦しさがあって肺炎かなあとか思っていた時期があったのですが、しっかり歯を磨くようになってからその症状が減ってきています。

また下痢っぽいことも多かったのですが、それもなくなりました。

調べてみると、肺炎や腸の疾患も、おそろかな歯磨きが関係していることもあるんだそうです。

こわーー!

歯磨き、コワーー!

 

自律神経失調症やパニック障害となるとどうしてもこころとか神経にその原因を求めがちです。

あるいは呼吸や骨格の歪みなどがフォーカスされることも多い。

さて、案外見落とされているのは「歯」かもしれません。

口腔内の不潔が精神疾患に関わるという話もあるそうで、意外なのは糖尿病などの成人病の原因にもなりうる、というのです。

歯磨きをサボっている、あるいは不完全な磨き方をしていると心身にわるい影響が出る場合もあるということなのですね。

 

歯を磨くとリラックスしやすくなって自律神経の安定に効果があるという論文もあります。

http://www.med.u-tokai.ac.jp/web/kenkouclub/yosikawa.pdf

あくまでそういう「仮説」なので、鵜呑みにしてはいけませんが、ただ「口腔内の清潔」ということはやはり大事なんだと思います。

 

そういえば毛沢東は一切歯を磨かなかったそうです。

お医者さんに歯を磨けと忠告されたとき、

「虎は歯など磨かぬ!」

などと大言壮語していたそうです。

いや、おめートラじゃねえじゃんただの人間じゃん……とは、お医者さんも言えなかったのでしょうね。

毛沢東の死因は急性心筋梗塞だったのですが、一説によると口腔内が不潔だと、そういった循環器系の急性障害の確率が高くなることもあるそうです。

 

そういえば「マイクロバイオータ」という概念をヒトの清潔観念にまで敷衍させた「不潔のほうがよい説」「汚くてもダイジョウブ説」というのがあります。

これは自然保護のイデオロギーと結合して意外とよく支持されているようです。

よい菌とわるい菌の多様性によって結果的に相克しバランスがよくなり、洗ったり消毒をしたりしないほうがかえって清潔になる、という仮説です。

ぼくも一時期これを信じて試してみたことがありましたが、個人的にはこれは「机上の空論」と帰結しました。

タモリ式入浴法で石鹸を使わないとか、いっさい洗剤を使わないとかいうことをすると、からだのあちこちに「たむし」のようなものができたり、もともとなったことがないのに水虫になったりしました。

石鹸を復活させたらいっぱつで治ってしまいました。

やはり思考実験で出てきた仮説というのは実際には効力がないどころか、かえって物事を悪化させる場合もあるのかもしれませんね。

つまりネットや書籍で流れている言説(正当な論文も含む)をそのまま生活に持ち込むのは、どうにもいけませんな。

「やってみないとわからない」し、何より個人差がある。

一般人には人柱になって科学者の代理実験をしてあげる義理など一切ありませんからね、よけいなこと、変わったことはせぬが賢い。

まっとうな科学は人身御供を求めません。

 

清潔って、やっぱり大事だと思います。

このたびの「コロナ禍」であのマイクロバイオータ仮説を支持していた「石鹸不要主義者」たちはいま、いったいどんな顔をしているのでしょうか。

この世にいまあるものは、必要があるからうまれてきたし、役に立つから普及した。

これについて過度な疑いや否定的感情を持つというのは科学的姿勢というよりも陰謀論と同じで、炎症したこころが生み出す狂気的妄想にすぎないのかもしれませんね。

遍界不曾蔵、この世に隠されたものなどない。

石鹸は、使いなさい。

歯を、みがきなさい。

手を洗い、うがいをしなさい。

掃除を、しなさい。

お風呂には、はいりなさい。

あたりまえのことをきちんとしてから、文句いえ。

 

 

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