世界時計

先日コロナ絡みでなんとなく思いついた無料サービスがアメリカの会社の目にとまって、アメリカ方面でも使ってもらえることになりました。

国内での拠点展開はいちおう視野には入れていたものの、まだ全然動いていなくて、まさか最初がアメリカになるとは予想もしておりませんでした。

ただまあ、無料なので、ぜんぜん儲けにはなりませんけれどもね。

でもじぶんが作ったプログラムが海外で動いてくれるというのは「我が子が出世した」みたいな感じで、すこしうれしいです。

 

さておきそんなことで「海外在住の人とビデオ会議をする」などという、まるで未来の秘密結社のようなことが最近起きているのであります。

ぼくは完全無欠の国内型労働者でありますから、困惑至極であるのであります。

幸い相手は日本人だから会話じたいには問題ありません。

だから逆に気がつかなかったのですが「時差」の問題がある。

そしてその時差のおかげで、曜日も変わってくるのでありますね。

 

ううむ。

 

ぼくはもともと、数学は好きでも四則演算が苦手です。

だからしょっちゅう、意識が混濁(おおげさかな)するのでありますよね。

ええと・・・いま昼の12時ということは、ロサンゼルスでは、ええと、ええと、12+8=20で、夜の8時でいいのかな?

おわ、夜の8時とかもう、連絡できねえじゃん!

でこっちは月曜だから、むこうは火曜日?

ちがうか。

ちがうわ、むこうは日曜じゃねえか。 ていうことは、休みじゃん!

え、ほんとに日曜か? 日曜の何時?

いやだから、20時だっつってんの!

 

え、だからどうしたらいいの。

むこうが日曜の夜8時だから、通話連絡をするとしたら明日のほうがいいよな。

カワイソウだから。

いまは月曜で、月曜のあしたは火曜だから、おれは火曜の昼ごろに電話をしたらいいのか。

いやだから、そしたらむこうは夜だっつってんのっ!

ええと、ええと、だから8時マイナス8時間は、12時だから、12時に連絡するのか。

ちがうだろ!

バカかてめえは!

そうじゃなくて、ええと、「むこうの常識的な時間」をまず想定してだな、それはたとえば15時だとしよう。

15−8=7 だから、え、この計算合ってる?

合ってるな、計算機でも「7」だから。

だからつまりおれは、あすの火曜の朝7時にアメリカにデンワしたら、むこうでは15時なわけで、え、何曜日?

むこうは月曜か。

月曜の15時だから、うん、だいじょうぶだよな。

待てよ。

なんか月曜は全社オンラインミーティングがあるみたいなこと言ってたような、それ何時だったっけ、そうだ朝の8時って言ってたな。

じゃあ、だめじゃん!

朝の7時にかけたら、1時間しかバッファないから、ややこしい話になったら「食い込む」可能性あるな。

……って、ちがうのっ!

8時は、日本の8時だから、むこうでは15時だっつってんだろ!

朝8時のミーティングだから15時はぜんぜんOKだろうが。

そうだ、だからおれは、その、ええと。

ええと。

何時にデンワするんだったっけか。

あれっ?

朝の8時? いつの?

あ、今日か。 いや、いまもう12時じゃん!

昨日の朝8時に、電話するんだよな。

アホー!

できるか!

昨日電話するとか、できねえわ! ドラえもんいるわ!

だから明日の、朝8時だっつってんの!

……。

……え、明日って、何曜日?

……ていうか、明日って、なんだったっけ。

……時間とは、そもそも、なんだろうか。

 

 

しまいには「人間は本質的に時間的存在である」とか「あらゆる存在は時間である」などという哲学的なコメントもあたまに浮かんできて、「あたま、パーン!」っていきそうになる。

そんな難しい話じゃねえや。

難しくないんだけど、ふとしたときに「あれ、あれ、どしよ、どしよ、あた、ふた」となることがある。

 

こういうときのために「世界時計」っていうのがあるんですね。

パソコンの時計部分に、ちゃんと表示してくれるアプリがあった。

ううむ、賢いっ!

おまえ、エラいなあ!

 

慣れればなんてことはないんだろうけれども、時差って、むずかしいなあ。

なんか本質的な部分が「グラグラ」ってなる不安をおぼえる。

やっぱり人間とは、時間的存在なのかもしれない。

ふとした瞬間に、浮遊している感覚になることがある。

(アタマわるいだけだっつうの)

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