まったくテキトーですけど、いちおう登山は趣味のひとつです。
だから「速乾性」ということが、いかに汗のコントロール性に優れているかということは、身を以て「まあまあ」知っています。
この夏も、結局暑い。
ていうか季節的にはもう、秋に近いんだけれども。
そういえば……と思って、速乾性のTシャツで過ごしてみることにしました。
登山に行く時に、インナーとして着るものです。
パタゴニアとか、マムートとか、ノースフェイスとかいうメーカーが作ってくれている速乾性のもので、素材は化学繊維です。
これを着ると、うそみたいに汗がベタベタしない。
よく考えればこれ登山じゃなくて、夏の普段着でいいじゃんねえ、そうじゃんねえ、と思って、着ることにしました。
失敗した。
まちがえた。
こういうのはやっぱり、「登山用」なんだなあ。
登山用のものに限らず、エアリズムなんたらいう速乾性のTシャツというのは、けっこうヤバい。
まず「ものすごく体臭がキツくなる」。
機能性の高い化学繊維系の布は、汗を吸ってどんどん外へ放出してくれる。
まず、それ自体は良いのです。
しかし出た汗は、どこへ行くというのか。
この高湿度の夏において、Tシャツの表面にまでニジリ出てきた汗は結局乾くのが遅く、Tシャツの表面でけっこうな時間滞留し、じわじわ乾いていく。
ということは、Tシャツの表面で汗がどんどん濃縮していくのであります。
スカっと乾くのではなく、「熟成しながら乾いていく」。
だから、クサイ。
もう、クサイのっ。
自分で「ウッ!」となる。
これはもう、まごうことなき、香辛料の「クミン」のニオイに似たあの「ワキガ」のカホリであります。
それも、コーカソイド系の白人ばりの、ハナモゲ必至のワキガのカホリ。
お、お、お、おええええ。
ぼくの勘違いかなと思っていたら、あまりハナが良くない親父にもいわれた。
「おまえ、ワキガか」
勘違いじゃなかった。
あと「アセモになる」。
機能性Tシャツの「繊維そのもの」は、じつは水をいっさい吸収しないのです。
編み方や繊維の形状によって、毛細管現象を利用して外側へ移送しているだけ。
だから汗が乾かないと、いつまでも同じ場所で汗が滞留することになる。
で、そのうちアセモになってしまうのでした。
綿100%のTシャツなら、こういうことにはならない。
綿の繊維そのものが汗を吸収して、じぶんの中に閉じ込めてしまうから。
そんな性質だから、綿はとても乾きにくい。
乾きにくいから、ニオイも発散しないのですね。
そして汗は、綿の繊維の内へ内へと染みていって、Tシャツ全域がドボドボになるまでどんどん移動しつづける。
綿100%のTシャツの場合、不快感は高いけれども、汗は意外と一箇所に滞留しないのです。
だから、アセモになりにくい。
これが化学繊維の場合、高湿度で風もなく乾かない状態だと、汗は「かいたその場所」で、いつまでも居座りつづけてしまう。
登山用のTシャツは、やっぱり登山用だったのだ。
そもそも、なぜ登山用のTシャツが速乾性なのかというと「汗冷え」を防ぐためなんだそうです。
汗をかくと、乾きにくい素材の場合急に冷え込んだ時に凍傷になってしまうこともあるらしい。
それを防ぐために化学繊維の下着を着るのでした。
登山用は、登山用。
スポーツ用は、スポーツ用。
なんだなあ。
「汗臭さを軽減」なんていうキャッチコピーに惹かれてユニ●ロなどの能性下着やTシャツを着るひとがいるけど、気をつけたほうがいいです。
じぶんが思っている以上に、周りに「ニオイ」を撒き散らしているのです。
そりゃそうだわなあ、外へ外へと汗を放り出していっているんだから、ニオイも一緒に出ています。
スーパーなんかにいくとけっこう可愛らしい若い女性から、ウッとなるような「けだもののかおり」がすることがあって、見ればだいたい機能性Tシャツを着ている。
そのにおいを嗅いで、ぼくはいつもコーフンするのでありました。
うそ。
ニオイフェチじゃねーし。むしろキライ。
目が充血しそうになるよね。
(それはそれで、どうなのか)
不快ではあるが、高湿度の「ニッポンの夏」には結局「綿100%」が良いのかもしれないです。
クサイのだけならまだしも、アセモになってたら、しょうがないよね。
夏はこれから「うすい綿100%のTシャツ」にしておこう。
綿、やるなあ。
さすが、人類と最も長い付き合いのある繊維ですね。