タンクトップの幸せ

わしゃあ、知らんかった。

タンクトップという服が、こんなにも快適であるということを!

 

50年生きてきて、ぼくはタンクトップという種類の服を、もしかしたら1回も着たことがなかったかもしれない。

「Tシャツ原理主義」とでもいうべきなのか、下着であろうが、夏の軽装であろうが、とにかくTシャツ。

夏に山登りに行くのにも、ジョギングをするのにも、とにかくTシャツ。

素材は綿であったり化学繊維であったりもするが、夏はとにかくTシャツ。

むろんタンクトップという服の存在を知らなかったわけではないが、着てみようと思ったことがなかったのです。

 

そんなぼくは、先日からタンクトップを着ています。

というのも、炎天下で庭仕事をしたあとに汗でドボドボになったTシャツを脱いだ時、最も濡れていたのが「肩」であることに気がついたからです。

発汗というのは、むろん体質にもよるけれども、「最も熱を発散すべき場所」で起こるといいます。

発汗が肩に集中しているということは、ぼくのカラダは「肩から熱を放散したがっている」ということなのではないか?

と思ったのです。

ところがぼくが執着していたTシャツというのはご丁寧にも、この「最も熱を放散すべき場所」であるはずの肩を「ぐるんっ」ときれいに包み込んでしまっている。

イカンのではないか。

これは、イカンのではないのかッ!

 

で、近所のスーパーで購入してみた「BVD・綿100%リブ編みタンクトップ・グレー2枚入り・1380円」を着てみたところ・・・

 

涼しい!

 

(もしかしたら当たり前なのかもしれないが)びっくりしてしまうほど涼しいではないか!

 

天気のよい日だと、午後2時ごろの仕事場は気温30度ほどになります。

窓が大きいので日光が直射するとトマトの温室のようになり、窓を全開放して換気しても1度ほどしか下がらない。

そこでエアコンをつけてしまうことも多々あります。

しかし・・・・・・。

このタンクトップを着ていれば、そんなに暑くない!

暑いことは暑いが、あの異様な不快感がないのです。

それもそのはず、肩にたっぷり汗をかいていると、ちょっと風が吹いただけでもものすごく涼しく感じるのです。

気化熱放散によって、体温調節ができているのですね。

それがTシャツを着ていると、どうも肩からの体熱放散がうまくいかないらしい。

それであの異様な暑苦しさを感じていたのかもしれません。

おかげで気温30度程度ならエアコンが不要になりました。

 

涼しすぎて、弊害さえあります。

ちょっと強い風が吹くと、涼しいどころか「寒い」のです。

風が当たる窓際に座っていたりすると、室温は30度だというのに、

「アカーン! これは、アカン寒さですわ!」

と、からだが訴える。つまりゾクゾクする。

エアコンもダメ。

エアコンの風が肩を直撃すると、まるでマンガみたいに「イーックショイッ!」とクシャミが出る。

タンクトップのままでエアコンの効いた室内で昼寝をしたら、みごとに風邪を引きました。

 

よく考えてみれば、タイや東南アジアなど日本と似た高温多湿の国のひとたちは、よくタンクトップを着ていますね。

それは「必然」なのかもしれません。

日本は高温多湿の亜熱帯に属しているのに、住民がバカだから、服装は西洋風にしようとしたがるんですよね。

男性では「ビジネスマンにとってスーツは鎧だ」などとホザきやがって、暑くても我慢してスーツの上着は脱ぐべきではないなどと、まるで狂人のようなことをいう年寄りもいます。

また女性たちも美白だのなんだの、てめえはそもそもまっ黄色だっつうに、病人のように白くなろう白くなろうとして、とうとうイスラム教徒のように真夏でも手足や顔を布で覆うしまつ。

で、暑い暑いとヌカしやがって、クーラーをつけ、アイスクリームだのビールだの冷たい飲み物などを飲みまくって内臓を冷やし、逆に大量発汗をして洗濯物を増やし、無駄に電気を浪費していく。

ヘンなことを考えずに、すなおにタンクトップとか着てりゃあよかったんだ。

そもそも「肩や腕を出しているのは失礼にあたる」というのは、西洋文化圏での価値観であって、アジア圏ではあてはまらない。

インドなんかはむしろ、伝統的には右肩は出しておかなければ、失礼なんだそうです。

 

服装を文化や慣習に合わせるというのは、色んな意味で間違っているんでしょうね。

そんな難しい話じゃねえや。

「服装は、人にではなく気候に合わせる」

それが最もただしい道だと、50年生きてきて、はじめて悟りました。

自然な生活をしていれば、よけいなものは、必要なくなる。

よけいなものが必要になるのは、へんな生き方をしているせいだ。

 

ちなみにぼくの場合、肩のほかによく汗をかいているのは、上半身では「胸」です。

それも、胸の中央あたり。

「よく汗をかく部分を開放すれば、とても過ごしやすくなる」という原理からすると、ぼくが理想とする服の形は、以下のようになる。

 

 

 

 

 

・・・・・・。

 

いやまあ、そうなんだけどもさ。

 

50ヅラさげたおっさんがこういうのを着ていると、場合によっては法に抵触するのではないか。

「おじさんヘンな服禁止条例」みたいなのに引っかかって通報されるのではないか。

「猥褻物陳列未遂」とかで現行犯逮捕されるのではないか。

 

だから「理屈」って、大嫌いなんだよなあ。

理屈をこねまわすと、へんな服になっちまうんだよなあ。

オッサンがこんなの着るならもう、裸でいろ。

なーにをちょっとだけ、乳首とか隠しとるねん。

 

いつも思うんだけど、女の人って、いいよなあ。

こういうの着てても全然おかしくないっていうか、むしろ可愛いもんな。

まあまあオバサンでも、体型さえ管理しとけば、いけるんじゃないか。

しかしどうしてこう、オッサンといういきものは、なにも似合わないんだろうか。

裸さえ、似合わなくなってくるんだもの。

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