にこにこ・すいっち

あっちが痛いこっちが具合わるい、自律神経の調子を崩すといわゆる「不定愁訴」という症状が出るようになるらしい。

とくにこれといった原因があるわけではないのに、痛みや不快感が全身に出る。

 

このことをお医者さんに相談すると「ストレスですね」で片付けられてしまうことが多い。

まあ確かにストレスが原因なのかもしれないが、ストレスをまったく感じていない人間など果たしてこの世に存在するのであろうか。

ストレスが原因だからストレスを遠ざければ良いというのは、理屈としては正しいが、机上の空論に過ぎないのではなかろーか。

というのが、10年以上パニック障害と格闘してきたぼくの結論であります。

 

あっちが痛いこっちが具合わるい、不定愁訴は要するに「文句」なのだと思う。

だいたい自律神経をぶっ壊す人というのは真面目で人が良く「ずる賢さ成分」がすくない人が多いらしい。

ずる賢さがなく、真面目だったら、そりゃあ文句も貯まるであろうなあ。

心理実験でもあったが、真面目な人というのはじつはとても「腹黒い」のだそうである。

まあ、そりゃあそうだわなあ。

ふつうはうまいこといってスーと逃げてしまうようなことにさえも、真面目さんは「がぶり四つ」で組み合おうとしたりするもんだから、よけいにパワーをつかう。

愚痴もあまり言わないから、どんどん腹の中で文句が腐っていく。

そうして行き場を失った文句たちが、長年の鬱積の挙げ句、からだじゅうの痛みや不快感として飛び出してくる。

それが不定愁訴の正体であろう。

 

そこでぼくは先日、忽然と悟ったのである。

 

 

真面目は罪である。

 

 

結局は腹黒くなって文句が蓄積し、不定愁訴として飛び出してくるのであれば、真面目など褒めたものではない。

褒めたものではないどころか、もはや罪である。

ただ、愚痴を隠していただけではないか。つまらん。

おなかのなかが真っ白で、まったく愚痴を保持せず上機嫌に真面目なのであれば、それはとてもすばらしいことである。

しかし不機嫌を押し殺し、作り笑いをして、文句のないふりをして生きていくようなやつは、ただのうそつきであり、詐欺師である。

「真面目なフリ」をしていただけなのであって、その実は「ただの文句たれ」なのであった。

 

 

不機嫌なのだ、ほんとうは。

しかし社会性の観点から、不機嫌を表出することは躊躇われる。

そこで不機嫌ではないフリをして、小手先で上機嫌のように振る舞う。

いかんなあ。イカン。

手順としては「まず上機嫌になる」ことだったのだ。

社会性や周囲の評価を気にしながら真面目なフリと上機嫌なフリを並列実行するのではなく、

まず上機嫌になってから、そのつぎに真面目になる、という手順が必要なのであった。

このへんのプログラムの整理ができておらず、逆をやったり隠蔽したりするから、爆発する。

 

上機嫌になる方法。

 

難しいようだけど、じつはそうでもないようである。

じつは上機嫌というのは外部刺激への反応によってだけではなく、内部刺激への反応からもたらされるもののようである。

周囲の環境とか考え方とか知識とか経験とか、そういった操作が難しいことだけではなく、もっと単純なメカニズムでも生成されるそうだ。

「セロトニン・スイッチ」

セロトニンという幸福ホルモンには「スイッチ」があって、このスイッチが入ると「出続ける」ものなのだそうである。

こころの病を発症する人はセロトニンが不足していることが多いと言われる。

しかしそういう人たちも、じつはセロトニン生成機能に不具合があるわけではなく、単純にこのスイッチが錆びついているだけということがほとんどなのだそうだ。

このスイッチがうまく入るようになれば、状態はどんどん良くなっていくらしい。

そしてこのセロトニン・スイッチは、いったんONになると、半日以上ONのまま持続するものなのだそうだ。

ということは、たとえば朝の6時にONになれば、夜までセロトニンは出続けるということになる。

 

上機嫌・不機嫌の分水嶺は、じつはここにあるのかもしれない。

セロトニンスイッチが、「いつ」ONになったか。これが重要なポイントである。

朝にONになっていれば、いちにちずっと上機嫌でいられる。

しかしへんな時間にONになったり、もしくはONにならない状態が長らく続けば、日中や、あるいは四六時中不機嫌が続いてしまうということになる。

 

早朝に、日光を浴びながら、散歩する。

 

セロトニンを出す方法についていろいろと難しいことを言うひとも多いが、結局はこれに尽きるのだろうと思う。

セロトニンはただ出せば良いというものではなく「いつ」出始めたか、ということもキーである。

夜に出始めても、活動する上ではあまり意味がない。

やはり早朝に出始めるというのが、いろいろな意味で都合が良いといえる。

 

このことは、受け売りではなく実体験もある。

やはりいくら眠くても面倒くさくても、早朝に15分ほどフラフラ家の近所を呆然と歩き回るだけでも、その日一日は上機嫌になる確率が高く、その夜もしっかり眠れる。

しかし朝起きてすぐ仕事にとりかかったり、あるいはソファでダラダラ過ごしてしまうと、些細なことでイライラすることが増える。

そしてどういうわけか、寝付きが悪くなる。

妙な話だけれども、朝活系キビキビシャキシャキの朝と、怠惰系ゴロゴロダラダラヒキコモリの朝は、じつは不機嫌を助長するのであった。

のんびりテクテクの朝こそが、上機嫌を生むのであった。

 

にこにこスイッチは朝、ONにしよう。

 

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