寒い!
いやまあ、たしかに最近急に気温が下がったので、わからなくもない。
わからなくもないが、なんなんだこの寒さは!
気温20度なのに、なんでこんなに寒いんだ!
じっとしているとプルプルとからだが震えそうになるぐらいで、きょうはもう、とうとう室内なのにフリースを着込んでしまった。
風邪である。
それもわりと、わかりやすいタイプの風邪である。
スタンダードなタイプの風邪である。
鼻が詰まって、クシャミが出たりして、咳やタンが出る。
節々が痛み、手足が冷えて、そのくせに頭は熱くて、とにかく寒い。
のどが渇く、微熱が出る。
だるい。
知らなかったのだが、筋トレをすると風邪を引きやすくなるそうなのである。
理由は男性ホルモンである「テストステロン」が急にたくさん出るからなのだそうだ。
テストステロンといえば、元気、ハツラツ、攻撃力、闘争心みたいな、いわば男らしさと陽性を司るホルモンである。
だからテストステロンがいっぱい出ていたら、もはや真冬に裸でも風邪なんか引かないような気もする。
でも、事実はそうではないそうである。
「テストステロンは免疫力を低下させる」
という特徴があるのだそうだ。
一説には、男性ホルモンというのは太く短く生きるためのホルモンなのではないか、というのがある。
免疫力が強いということは「抑制的」であるということで、リスクを最小にして生存確率を高める方向性がある。
これが精神にも影響してきて、臆病で気弱、行動量が減少するという傾向があるのかもしれない。
男性ホルモンはこの抑制を取っ払ってしまうから、勇気が湧き、強気になり、行動的になると考えれば納得は行く。
オフェンス性向の代償として、免疫力を犠牲にするのかもしれない。
風邪のことは初耳だったが、それ以外では筋トレをするたびに毎度似たようなことを経験している。
とにかく強気になって、臆病風が消えてしまうのである。
このことで、ちょっと荒っぽい行動になってしまったり、怒りやすくなってしまうこともある。
寝室が柔道部の部室みたいなニオイになったり、気の所為かもしれないが、からだから「精液」のにおいがすることさえある。
朝起きたら「ものすごい勃起」をしていることもある。
これらはきっと、男性ホルモンの影響だろうと思う。
考えてみれば、ぼくは日頃男性ホルモンが出るようなことを全くといっていいほどしてこなかった。
健康法としては長年ヨガをやっていて、ヨガは基本的には安静で、筋肉負荷はすくない。
走ったりするよりも「たくさん歩く」ことのほうが多い。
ゲームやスポーツ観戦に興味がなく、読書や映画鑑賞をしていることがほとんどである。
ときに、座禅をしたりもしている。
ぼくの生活をひとことで言い表すならば「静謐」というのが近いと思う。
いわばぼくは女性的な生活を長年続けていたわけで、男性ホルモンがスッカラカンになっていたかもしれない。
そこへ急に筋トレという「男性性の極み」みたいなことをしはじめたから、ドバー、ビシャー、と男性ホルモンが出てしまったのではないか。
からだが男性ホルモンに慣れていなくて、過剰にその影響を受けてしまうのかもしれない。
あまり知らなかったが、最近は「筋トレブーム」なのだそうだ。
これによって「テストステロン万能論」のようなことが、書籍などでも見られるようになった。
とくに男性はテストステロンが旺盛であれば活動的で元気になり、人生も成功するというような説である。
もしかしたら、これは厳重に注意したほうが良い説なのかもしれない。
確かにその方向性はあるのだろうが、そこには「代償」があるかもしれないからだ。
それはつまり免疫力の低下であり、短命化である。
テストステロン原理主義者の本も読んだことがあるが、明らかに確証バイアスに踊らされている感がある。
一見科学的な情報ソースを網羅していてはいるが、「反証」を一切提示していない。
著者は自説に盲目になり、自説の強化に躍起になり、主観に拘束されている感がある。
この精神の方向性こそが、まさにテストステロンのなせるわざかもしれなくて、脳が脳自身を正しく認知できないというドグラ・マグラ的陥穽に落ち込んでいる可能性があるのである。
この世に「万能」などない。
筋トレさえしとけば大丈夫とか、テストステロンさえ出しとけば大丈夫とか、そんな安直なことはないはずだ。
テストステロンに「酔って」いる状態が、果たして人間として、男として、本来的なのかどうか。
筋トレはとても良い運動ではあるが、客観性を失わず、この部分だけは見落とさないようにしていこうと思う。
真理はいつも極端ではなく、「真ん中らへん」にあるそうで。