IT時代のシステム手帳

紙の手帳というものをほとんど使わなくなってしまった。

Web制作かつ在宅ワークという仕事柄、パソコンやスマホを利用する時間が長い。

スケジュール関連はパソコンで管理するほうが便利で、とくに「Asana」というサービスが秀逸である。

ぼくはもうAsanaがなければ仕事ができない、ぐらいに依存してしまっている。

いろんな仕事のスケジュール管理はもちろん、それぞれのタスクに関する情報(書類や写真、メモ書きなど)も全部ここで管理できるから、ToDoリストなんかもいらないしGoogleカレンダーもいらない。

 

昔は紙の手帳でスケジュール管理をしていたが、怖いことがある。

その手帳を紛失したら、一巻の終わりなのである。

その点AsanaやGoogleカレンダーなどでスケジュール管理をしていたら、もしスマホをなくたり電池が切れたり、最悪壊れてしまっても、スケジュールはパソコンでも確認ができる。

また、怖くはないが困ることがあって、予定が変わると紙の手帳の場合はいちいち書き直さないといけない。

これもパソコンやスマホのスケジューラであればドラッグ&ドロップで日付や時間を移動するだけで終わりである。

一覧表示も当日表示も転写不要で自在だし、プログラムが書けるひとならどのようにでも出力形態を変えられて、分析までできてしまう。

ことスケジュール管理に関しては紙の手帳は「惨敗」といって良いと思う。

 

メモに関しても、紙の手帳の出番は少なくなってきた。

EvernoteやQuiverなどのアプリで管理したほうが便利なのである。

昔は「雑誌の切り抜き」などということも必要だったが、最近はそういう行動も「Webサイトのクリップ」ということに変わってきている。

WebサイトをキャプチャしてEvernoteに貼り付ける、あるいは雑誌をスマホで撮影してデータを保管するという方法もある。

これらもスマホやPCでも閲覧可能で、デバイスの紛失だけでは情報は失われない。

「声でメモる」ことも可能だから、AppleWatchに喋りかけるだけでメモがとれてしまうという、もはやSFのようなことも可能になった。

 

パソコンやスマホで1点だけ不利なのが「アクセスの手間」ということだろうと思う。

いますぐにメモを取ろうとしているのに、スマホだとまず認証し、アプリを立ち上げるという手間がある。

パソコンも、すでに立ち上がっていたとしてもアプリを起動させる手間がかかる。

スマホの場合は通話中だとアプリが使いにくいというデメリットもある。

電話中やオンライン打ち合わせ中にメモをとる必要が生じた場合、録音をしていなかった場合にはアタフタすることもある。

そういう場合は「紙のメモ帳」が便利なことが多い。

 

個人的には、筆記用具は「鉛筆」が最高である。

シャープペンの場合はノックしないと芯が出ないし、芯が切れている場合があったり、書いている途中に「ペキ」など情けない声を出して芯が折れる場合がある。

芯を出すために数十回カチカチカチカチとやる必要があって、イライラする。

ボールペンはあまり使っていないと書き出しでインクが出ない場合がある。

そこで紙の上でeeleeleel(うなぎ、うなぎ、うなぎ)と数秒間書き続けることになる。

万年筆などは論外で、まずキャップを取る必要があるし、ペン先が乾燥していたら「うなぎうなぎ」をやっても無駄である。インクを交換しなければならない。

そんなことをしているヒマがあるのなら、もうスマホでメモ帳を立ち上げるほうが早い。

その点、鉛筆というのは秀逸である。

どのような状態にあっても「すぐに」書きだすことができる。

仮に10年間引き出しの中で眠っていた鉛筆であっても、即座に現役として復活してくれるのである。

鉛筆の芯がバキっと折れてしまっても、強引ではあるが、力を込めればかすれつつも書くことじたいは一応可能である。

そもそも芯をピンピンに尖らせていない限りは、そうそう折れることもない。

だから結局、打ち合わせ中のメモは「白紙と鉛筆」になっていった。

これで十分などという消極的なことではなく、積極的に「これが最良」なのである。

 

バブル時代全盛のころは「システム手帳」というのが流行していた。

若い人はシステム手帳という言葉じたいを知らない可能性もある。

だから今でもシステム手帳を使っているということを宣言するのは、「わたしはバブル世代の化石です」ということを宣言することに等しいのかもしれない。

とても恥ずかしいことのなのかもしれない。

システム手帳はその中身を「リフィル」によって自在にカスタマイズ可能であることが魅力だった。

しかし、スマホやパソコンが出現してからはその魅力は半減どころか、ほぼ絶滅してしまった。

スケジュール管理は間違いなくスマホのほうが便利だし、メモだってあんな御大層で重たいものよりも、ただのメモ帳とただの鉛筆のほうが便利である。

「情報の一元化」ということもシステム手帳のメリットだったが、情報の一元化のためにはパソコンやスマホのほうが断然便利というか、それこそがIT技術の存在価値である。

クラウドを使えば一元化する情報量はシステム手帳の1億倍から1兆倍にもなるだろうし、情報加工の方式はほぼ無限に等しく、インデックス化も検索も容易である。

システム手帳、および手帳というのは、スマホやパソコンが苦手だという「能力不足」「成長の拒否」という、一種の老化現象を補うものとして生き残っている部分も大きいのかもしれない。

いまから消えていくひとたちを救うために、あるのかもしれない。

 

しかし。

 

ぼくは先日、システム手帳の有用性を発見してしまったのである。

システム手帳を「手帳」として使うから、意義を喪失してしまっていたのであった。

そもそもの話として「手帳というモノ自体が不要」になってきているのである。

手帳というフィルターを捨ててしまって、ただのモノとしてシステム手帳を見た時、けっこう使い所があることがわかった。

 

まずシステム手帳の良い点は、

「開いたままで置ける」

ということだった。

一般的なノートや手帳、メモ帳だと、机の上に置いても「閉じようとする」のである。

パカーと開いたままじっとしてくれるノートというのは、あることにはあるのだが、案外少ない。

ふつうのノートだと、書いている最中に閉じよう閉じようとするので案外困ることがある。

電話などで片手がふさがっている場合は、とくに困る。

その点システム手帳はもともとリフィルを継ぎ足すことが重要な機能でもあるから関節が柔らかい。パカー、と開いたままじっとしてくれるのである。

どうぞ、好きにして頂戴。

と、使用者に全面的官能的に身を委ねてくれるのである。この関節の柔軟性は、メモを取るときにけっこう重宝する。

 

次には「整理整頓に向いている」ということである。

システム手帳のリフィルには樹脂製の「ポケット」というのがある。

これを利用すれば、いろいろなモノを整理することができる。

IT技術の進化によって紙の書類の数はかなり減ってきたが、それでも紙の書類が絶滅したわけではない。

むしろIT化によって無駄な紙が減ってくれたせいで、残った紙の書類は重要なものが多くなった。

税金の振り込み用紙や健康診断用の書面、確定申告に必要な証明書など、とくに官公庁に関するものもある。

こういったものは案外保管に困るところがあって、それほど嵩張るものでもないからわざわざ専用のクリアファイルを用意するまでもないが、かといってそのへんに置いておくわけにもいかず、引き出しに厳重に仕舞うほどのものでもない。

こういうものこそシステム手帳の「リフィルポケット」に入れておくと、とても整理しやすいのであった。

振込用紙の類はA5版程度の大きさのものが多いので、A5のシステム手帳の場合はぴったりと収まりが良い。

「あれっ。固定資産税の納付書どこやったっけ」などと探し回ることもなく、手帳を開けばパっと出てくる。

 

「リフィルポケット」を応用すれば、「使用頻度は比較的高いが、いがいと収納場所に悩むもの」を集約することができる。

これは案外便利だった。

メモ用紙のリフィルを付け足しておけば、「メモ帳兼、準重要書類・小物フォルダ」としてデスク上に鎮座させておける。

よく使う文房具類も集約させておくこともできるし、外出が多い人ならば、どうしてもスマホに集約できなくて財布にも入らないチケット類などを集約させておけるかもしれない。

薄型の充電器やコード類の整理としても使えそうだ。

 

手帳としてではなく、整理整頓用ファイルとして使う。

そうすれば仕事だけでなく、趣味などでも活用できるのかもしれない。

というかむしろ、今後のシステム手帳のありかたはそうなっていくんだろうなあと思う。

システム手帳が生き残るためには「手帳の機能にこだわらない」ことなのかもしれない。

「システム手帳なんてオワコンだ」

なんて言うひともいるが、ぼくはそうは思わない。

むしろIT化がすすむ昨今だからこそ、この「カスタマイズの柔軟性」を持つ手帳は、その活躍の場が広がっていく予感がする。

システム手帳と言うよりは「情報ポーチ」ともいえるのかもしれない。

この傾向は、たぶん「財布」にもいえると思う。

電子マネーの普及によって財布の存在価値がゆらいでいるが、財布の生き残りは「財布としての機能にこだわらない」ことなのかもしれない。

 

ぼくも、そのようになろうと思う。

ぼくは、ぼくの機能にこだわらず、ぼくを柔軟に活用していこう。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。