イライラは角度で防ぐ

いわゆるパニック発作というのは最近まったく出ないのだけれども、たまに無性にイライラすることがある。

このイライラは不思議なもので、かなり激烈ではあるのだが、なぜか機嫌は良いのである。

鼻歌まじりにイライラする、あるいはニコニコしながら激怒するというような、竹中直人的激情なのである。

「明るいイライラ」とでも言うべきもので、怒りや恨み、悲しみや絶望など、何らかのネガティブな感情を伴うものではない。

どうやらこのイライラは感情などの「こころの反応」ではなく「からだの反応」から起きているようなのである。

 

デスクワーク中に急に立ち上がったときにクラっと貧血のようになり、そのことが原因で動悸が起きたりして、非常に不快なことがある。

かと思えばデスクワーク中に異様に頭に血が上って鬱血しているような感覚になることもある。

非常に強い息苦しさを感じたりすることもある。

これらの不快感が重なったときに、イライラするのである。

非常に強い激昂した攻撃的感情が生まれているのだが、原因となる対象がないので、ほんとうに怒っているわけではない。

ただぼくは「不快感」に対して強い憤りを感じているのである。

 

これも一種の「ストレス」ではあると思う。

しかしたとえば人間関係や家庭環境、経済レベルなどに起因するいわゆる「社会的ストレス」とは言い難く、いわば「肉体的ストレス」とでも言うべきものだろう。

ぼくたちがよく耳にするストレスというのがなぜか「社会的ストレス」のことが多く、だから「俺にはとくにストレスなんかないのに、なんでいつも神経の調子がおかしいんだ! チキショウメ!」と、ずっと怒って生きてきたのだった。

じつは、ストレスがなかったわけではないのかもしれない。

「社会的ストレス」は確かに少なかったのかもしれないが、「肉体的ストレス」が多大であった可能性があるのである。

だからぼくは「明るいイライラ」を生成していたのではなかろうか。

 

これに気がついたのは、「卓上傾斜台」を導入してからだった。

机の天板は、ふつうは水平である。

この水平な机の上に約10〜11度の角度をつけた台を乗せることによって、作業中の首・肩・背中などへの負荷を軽減させることができるのである。

この卓上傾斜台はDIYで作成したものだが、これを利用するようになってから、明らかに肩こりが軽減した。

それに伴い、あの立ち上がったときの急なフラツキ、息苦しさなどがほとんど出なくなった。

頭の充血感や、不意の動悸、息苦しさも出なくなった。

 

そうなのである。

ぼくがストレスとして攻撃対象に認定していたあの「不快感」たちは、じつは肩こり・背中こりが原因だったようなのである。

デスクワークを継続することで姿勢が悪化し、背中や肩に余計な負荷をかけていた。

最近は筋トレをしていて、胴体まわりの筋肉はだいぶ復活してきた。

しかしいくら筋力を向上させても、デスクワークを継続すれば必ず姿勢は悪化するのである。

どんなに高機能な椅子を使っていても、デスクワークを継続すれば必ず姿勢は悪化するのである。

背中が丸くなり、顔が前に出ていって、背中や首に多大な負担がかかるようになる。

「筋力や根性、習慣でそうならないようにする」というのは、おそらくは根本的には誤りである。

単純に天板が10度ほど傾斜していれば、腕がブレーキとなって背中が丸くなるのをある程度防いでくれるようである。

根性論や精神論ではなく、物理学的に姿勢を維持する方法、それが卓上傾斜台だろうと思う。

 

考えてみれば、ぼくのような生活で肩こりにならないほうがおかしいといえる。

在宅のIT技術者なので、朝から夕方までずーっとキーボードを叩いている。

またこれはぼくの長所であり短所でもあるのだが、かなり集中力が高く持続性があるので、デスクワークを継続してしまいがちなのである。

気がつけば4時間まるまる机にしがみついていることもある。

しかし仕事そのものがイヤなることは皆無で、むしろずーっとやっていたい衝動さえある。

そんな生活をしていてもあまりひどい肩こりにならなかったのは、もともと体が柔らかいのと、寝る前にしっかり柔軟体操をしていたからかもしれない。

 

デスクワーク中には「時折休憩を挟むべきだ」「時折運動をするべきだ」というアドバイスはよく知っている。

またヨガは5年間も継続しているので、肩こりを解消するストレッチやポーズについても知っている。

しかし、そんな知識などはまったく意味がないのである。

「強い集中力」の前には、どのようなアドバイスも無効化されるからである。

スマホでアラームを設定していても、集中しすぎているとそのアラーム音さえ聞こえない。

こうなってくるともう、一定時間が来ると自動的に机の天板が上昇するような機構を導入しなければならない。

それも少し考えたが、それをやったら、ぼくはそのまま「ついていって」作業を続けることだろうと思う。

あるいは「集中力を破壊する」という方法もある。

しかし、健康維持のために脳の機能を破壊するというのは、本末転倒である。

 

時折休憩をはさみ、適度な運動をする。

このことついて否定するつもりは一切ない。むしろ大賛成だし、それが最適解なのだろうと思う。

しかし最適解が存在するからといって、それがソリューションとは必ずしもなりえないのである。

休憩を挟むことを意識しつつも、「デスクワークをうっかり継続しても肩こりになりにくい環境を構築しておく」というバックアップルートを用意しておくことも、必要なことのように思う。

 

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