家という道場

近所の真言宗のお寺の塀のところには、よく標語が掲示されている。

定期的に変わるのだが、「いいなあ」と思える言葉に時々出会う。

ぼくが個人的にとくに気に入っているのは、

 

「心がけ次第でどこでも道場になる」

 

という標語だ。

この言葉は確か禅宗系では「歩々是道場」とも言っていたように思う。

 

そうなのである。

運動不足だと感じ、なにか運動をしようと思ったときには、つい「大掛かりなこと」を計画してしまう。

やれ山登りだ、やれヨガだ、やれジムだ、やれスイミングだ、やれジョギングだ。

もちろんそういったことが悪いわけではなく、まったくもって良いことだろうとは思う。

しかし、はたして、それらはほんとうに「必要なこと」なのだろうか?

もしかして、そんなに大げさなことなんかしなくても、心身を鍛えることは可能なのではないか?

 

ぼくの家は小さいが2階建てである。

したがって家の中には2階へ行くための階段がある。

この階段、もしかして「使える」のではないか?

心がけ次第でどこでも道場になる、その言葉に従えば、この我が家だって十分に道場になりえるということである。

健康のために、散歩に行き、階段を上り下りする。

もちろんそれはとても良いことなのだが、「家の階段」ではダメなのか?

うむ。

ダメ、ということはないよなあ。

やってみようではないか。

 

我が家の1階と2階をつなぐ階段は全部で「13段」であることを初めて知った。

15年住んでいるのだが、家の階段の段数を数えたことなどなかった。

聞くところによれば、1日に階段を100段上り下りすることは、けっこうな健康効果があるということである。

ということは、我が家の階段は4往復すれば約100段を上り下りしたことになる。

もし上りだけをカウントするとしても、8往復すれば良いということになる。

「家の中の階段を往復する」

そう考えたら、なんだか全然大したことがないような気がする。

ハナクソ的な運動量ではないかと思う。

しかし実際にやってみたら、まあまあシンドかった。

家の1階と2階をひたすら上り下りしていると、5往復めを過ぎたあたりで、意外とヒザにくる。

大腿四頭筋にカナシミを感じてくる。

イキも上がってくる。

8往復したあとは、まあまあのハアハアになる。

鼻の穴をおっぴろげ、ンフー、ンフーと息を荒げることになる。

 

もちろん、大したことはない。

大したことはないのであるが、確実に感じる。

「効いてるっ!」

まあ、考えてみれば当たり前である。

階段というのは基本的にJIS規格かなんかでその高さがある程度統一されているはずだから、まちなかの階段であろうが家の中の階段であろうが、それを上り下りするのはほぼ同じ負荷と考えて良いだろう。

公園などの階段をひたすら上り下りするのも、家の中の階段をひたすら上り下りするのも、運動負荷としては同等なのである。

 

もちろん、外の階段を使えば良いのである。

しかし雨の日や、ちょっと体調が思わしく日など、何らかの理由で外出が億劫であれば家の中の階段を使えば良いのだった。

待てよ。

そういえば、マンションならもっと多くの階段を利用できるということじゃないのか。

それはけっこう、羨ましいなあ。

 

こんな感じで他にもいろいろな「家を使った運動メニュー」が考えられるのかもしれない。

まさに歩々是道場、心がけ次第でどこでも道場になるのだなあ。

心身を鍛えるのに必要なのは、環境や道具、知識などではなく「心がけ」ひとつなのかもしれない。

 

 

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