かたい猫背、やわらかい猫背

この世の「姿勢指導」がいまひとつどれも効果が薄いのは、十把一絡げにしてしまっているからではないでしょうか。

猫背は良くないというのが一般論だけど、なかには「猫背のほうが良い」という人さえもいます。

この論点をそのまま見てしまうと「結局どっちやねん!」とツッコみたくなるし、どっちかが正しくてどっちかが間違っているということになる。

 

姿勢について、大雑把すぎるのではないか。

とくにそこには「時間」の概念がすっぽり抜け落ちてしまっているように思うのです。

 

まず第一に、猫背には「かたい猫背」と「やわらかい猫背」の二種類が存在していると思うのです。

子どもや若い女性なんかには「やわらかい猫背」が多いように思う。

スポーツマンなんかもこのうちに入る。

一見猫背なんだけど、それは背骨や筋肉が柔軟なせいで自由に曲がることで猫背のように見えている。

「かたい猫背」と決定的にちがうのは、呼吸筋が柔軟なので呼吸そのものは旺盛だし、血流も阻害されてはいない。

「やわらかい猫背」は、取り急ぎ健康に問題を引き起こす可能性が少ない姿勢なのだと思います。

 

いっぽう「かたい猫背」というのがある。

これは「やわらかい猫背」を長時間継続することで筋肉が萎縮硬化し、猫背の状態が「固まって」しまった状態。

これは即座に健康問題を引き起こす。

まず呼吸筋がガチガチに萎縮硬化してしまっているから呼吸が浅く、そのために自律神経系の問題を引き起こしやすい。

血流も阻害されるので、さまざまな部分に悪影響を及ぼす。

とくに首〜肩周りと腰に問題が起きやすく、呼吸と血流が阻害されることでメンタルにも悪影響が出やすいし、体力低下にともなって免疫力も低下し、さまざまな病気への抵抗力も弱まってきてしまう。

 

若い頃は「わやらかい猫背」であっても、取り急ぎは大きな問題がないのでそのまま放置してしまいがちです。

周りから「姿勢をちゃんとしなさい」と言われても、本人に切羽詰まった必要がないのでなかなか改善しようとはしない。

しかしこれを放置していると30歳を超えたあたりから「かたい猫背」に変化しはじめる。

人間はトシをとるほど筋肉が硬くなる傾向があり、とくに運動不足などが重なると姿勢が固まってしまう。

見た目自体は若い頃の猫背とそう変わらないように見える。

しかし「内側」には似ても似つかぬ改悪メカニズムを抱えていて、そのまま放置することで更年期障害や自律神経失調症を噴出させる原因になってきてしまう。

背筋を伸ばそうと思ったら息苦しく感じるとか、背中を後ろに反らせにくくなったときがそのサイン。

 

いっぽう、姿勢が良いひとにも「やわらかい良い姿勢」と「かたい良い姿勢」があります。

これは残念ながらどっちも発現率が低い。姿勢が良い人のほうが、やっぱり少ないのですね。

でもこれもやはり「かたい良い姿勢」の場合はさまざまな問題を抱えがちになる。

一見姿勢は良いけど、そのじつ呼吸筋群はガチガチで呼吸がとても浅く「かたい猫背」のひとと結局は同じような症状を訴え始める。

これは意外と女性に多く、おそらく幼少期から「姿勢をちゃんとしなさい」と言われて怒られ続けてきた結果、とりあえず見た目だけでもちゃんとしようとして「パワーで」姿勢を保持してきたことに起因するかもしれない。

また、筋肉量が多い男性にもこの傾向はよく見られるように思う。

 

さてこのあたりを総合すると、姿勢の良し悪しのまえに、まずは「やわらかいかどうか」ということが重要なチェックポイントなのかもしれない。

いくら姿勢が良かったとしても、「かたい」と結局は猫背のひとと同じような健康被害をもたらすからです。

横隔膜をはじめとする呼吸筋群が「自由」かどうか。

ここがまず、最初に見極めるところなのではないかと思います。

 

呼吸筋群が柔軟で自由で、まっすぐな姿勢。

もちろんこれが目指すべき理想だとは思います。

しかし「カタチ」から入ってしまうと、いちばんだいじな「呼吸」をないがしろになってしまって、いくら姿勢が良くても窮屈で息苦しい姿勢になってしまう。

また猫背を長時間継続していると、いくら最初は「やわらかい猫背」であったとしても、いずれはその形で硬化してしまう。

だから昔から「姿勢をちゃんとしなさい!」というのですね。クセにならないように注意をうながしている。

「やわらかくてまっすぐ」の場合は、筋肉の負荷が少なく呼吸の阻害もないので、長時間継続しても問題が起きにくい。

「猫背が悪い」のではなく、「猫背」に「時間」を足したとき、「わるい」という結果が出やすくなる。

 

 

「猫背がいいか悪いか」なんて議論は、不毛かもしれませんね。

そういうことじゃない。

「自由に息をする」ということは「自由に生きる」というのと同じことだと思う。

呼吸筋の自由、まずはこれを入手しなければ、いくら正しい姿勢を真似してみてもそれは「にせものの自由」です。

 

 

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