サムライからシノビへ

きょう読んだ本も、なかなかおもしろかったです。
精神科医のお医者さんが、メンタル的に「忍者の生き方」を強く推奨しているという、かなり珍しいコンセプトでもあります。
そしてまた、この著者である先生はむちゃくちゃニンジャに詳しい。

ニンジャ、というと、あの真っ黒な服で手裏剣を投げまくり、天井裏から突如急襲を仕掛ける身軽な暗殺者というイメージがありますけれども、ありゃ「ウソ」だったらしいです。
真っ黒な服は月夜だとかえって目立ってしまうから、実際には藍染とかクレ染めとかいう、紺とかグレーとかの服だったらしい。
ていうか、あんなケッタイな格好だと目立ってしまうから、農民とか町人のような格好をしていたそうです。
それに背中に刀を背負っていたのもウソ、手裏剣なんかはほとんど使わなかったし、ネズミのように忍び込んで人を殺すというのもほとんどなかったし、ましてや城内で大立ち回りをするなんていうのもまずなかったのだそうです。
確かに考えてみれば当然で、忍者はいわばスパイなわけで、そんなひとが目立つようなことをしていては職務怠慢というものです。
ああいうのは全部、演劇とか小説とか映画とか、そーゆーエンタメ系のアレで構築された虚構なんだそうです。

ただし、忍者はほんとうに体力と精神力はすごかったそうです。
1日に150kmぐらい走ったし、2.5mぐらいの壁を助走なしで飛び越えたし、15メートル上から地面に飛び降りても怪我なんかしなかったし、命綱なしで城壁をフリークライミングできた。
まさに「超人」でありますね。
クソガキのころから、それこそ「うそこけ」というぐらいキツい修行をしていたゆえに、純粋にアスリート以上の体力と敏捷性があったのだそうです。
そもそも忍者というのは修験道の僧侶が始まりだとも言われていて、あの山中での狂気じみた修行によって得た超人的な体力と精神力を、時代の要請で諜報活動に流用していたのかもしれないそうです。

はてさて、これを読んで、ぼくはとっても感銘を受けました。
忍者の「コンセプト」が、いいんですよね。
すごく、いいんだ。

生きて、生きて、生き抜け。

正義のために命を賭けるとか、愛と友情と夢のために戦うとか、そーゆー少年ジャンプ的ヌルいアレはないのです。
忍者はスパイだから、死んじゃったらだめ。
何がどうあっても必ず生き抜いて、機密情報を持ち帰らなくてはいけないからです。
ズルをしてでも、騙してでも、ウソついてでも、生きろ。
彼らがあれだけの体力と精神力を日頃から鍛錬で維持していたのは、殺人のためとか不法侵入のためだけではなく「生き抜く」ためのものでもあったそうです。

また忍者の「心得」である言葉が、すんげー心に響くのでありますよ。

花情竹性 (花のようにやさしく、竹のようにまっすぐであれ)
忍恥黙行 (恥を忍び、愚痴を言わずに行動せよ)
廉恥潔白 (恥を知り、潔白であれ)
無芸無名 (目立たず能力を秘めよ)
陰徳謙譲 (人知れず徳を積み、つねに控えめであれ)

ううむ、かっこいいなあ! この精神性!
有名になりたいとか、ひとから尊敬されたいとか、褒められたいとか、金持ちになりたいとか、モテたいとか、一攫千金とか、楽をしたいとか、出世したいとか、注目を浴びたいとか、夢を実現するんだとか、そんなこと言ってるやつが、ほんとにクソバカに見えてくる。
会社や仕事のために健康を害してまで頑張るやつとかも、ハナタレに見えてくる。
かっこ悪いぞ。ほんとうに。

生きて、生きて、生き抜け。
そして、花のようにやさしく、竹のようにまっすぐであれ。
いいなあ! なんか、泣きそうになるなあ。

もう「サムライ」の時代は、終わったんだ。
そう思うのですね。
忠義を重んじ、命よりも会社の利益とか、自身のプライドを尊重する。
一見格好はいいけれど、そういうことにこだわるから、いつまでたってもモメごとが消えないんじゃないのかな、とも思う。
ひとの欲望に頼ってばかりいる世の中のシステムだから、なんかバランスおかしいんだとも思う。
大事なのは「大義」なのであって、てめえのプライドとか名誉とか夢とか、うるせえんだよなあ。
はよ捨てんかい。そんなもん。
いつまで大事に持っとるねん。

いのちは大切にするけれど、「いつも、鍛えてる」。
この姿も、いいなあ。
いのちを大切にしましょう、やさしくしましょうばっかり言う、福祉的なヌルいアレも、なんかムカつくんだ。
それは確かにそうなんだけど「自己練磨を怠る」「厳さがない」というのはどうも、しっくりこない。
そのへん、なんかニンジャって、バランスいいなって思う。
忍者の「三病」。
不安、侮り、考え過ぎ。
忍者の「三禁」。
酒、女、欲。

強いけど、欲がない。
強いけど、自己主張はしない。
強いけど、柔軟。
これからは、そうでないと、まともに生きていけない気もしますね。
ちがうか。
まともに死ねないような気がする、かな。

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  • ぽぽんた より:

    >ズルをしてでも、騙してでも、ウソついてでも、生きろ。
    ここ数日
    とてもしんどいことがあって
    かなりまいっていたのだけれど
    この一行 目にして
    なんだか…
    笑っちゃったの。
    ありがとう ね。

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