背中は丸いかまっすぐか問題。

非常に悩ましく、どちらが正しいのかいまだによくわからない問題があります。

姿勢についてです。

まるでジーンズを洗うべきか洗わざるべきかという話のように、もはや真逆とも言える説が世間で横行しておるのでございます。

(引き合いにジーンズの話はおかしいかな)

 

つまり、

A:背中は自然にまっすぐであるほうがいい説

B:背中は自然に丸いほうがいい説

の、2種類があるのです。

 

共通して言えるのは「自然に」というところです。

どちらの説もほとんどの場合、無理に胸を張ったり背中を反らせたり、あるいは逆に丸くしたりせよと言っているわけではないのです。

また力むべきではないということは双方で同様に言われていて、軍隊式の姿勢は良くないという主張は基本的に共通しています。

 

そこでいろいろな説を見ていくと、「その説の出どころ」によって主張が変わる傾向があるということがわかったのです。

■ A派:伝統武道・哲学・ダンス系 — 「背中はまっすぐorやや反らせる系

■ B派:整体・新進武道 / 健康法系 — 「背中は丸める・ゆるめる系

 

伝統武道・ヨガ・ダンス系の主張

「背中は自然にまっすぐであれ」

・剣道、柔道、相撲、空手、カンフー等
・肥田式強健術系統
・禅、ヨガ
・日本舞踊
・アレクサンダー・テクニーク等

こちらの説に属する主張の共通点は「重力線の意識」というところです。

重力線に沿う形状が自然ととらえ、できるだけ背中はまっすぐで、首もしなやかに伸ばすことを推奨されます。

肥田式強健術に至っては「腰を大きく反り、胸を張れ」という指導もあるようで、これは他にも類を見ない主張です。

ただし肥田式でも、上半身に無用な力みをもたせることはいけないと言っています。

 

整体・新進武道 / 健康法系の主張

「背中はすこし丸いほうが良い / まっすぐは良くない」

・甲野善紀氏
・堀和夫氏
・森田敦史氏
・高岡英夫氏
・一部の新進的気功系、瞑想系
など。

こちらの説に属する主張の共通点は「とにかく、力むな」ということに尽きるようです。

脱力を非常に重視していて、脱力すれば自然と背中は丸くなるわけで、それを「自然」としているようです。

その結果呼吸も楽になり、動作も自然になるという主張です。

(ただもちろん、こちらの説でも、猫背を推奨したり、無理に丸くせよと言っているわけではありません)

 

さて、この両者の意見は、どちらが正しいのか。

姿勢に悩むひとならば、きっと迷ったことがあると思います。

 

結論から言うと、これはもちろんぼくの意見なのですが、

A派のほうが、たぶん正しい。

なぜそう思うかと言うと、実際にやってみて、「じぶんの肉体の状態によって、楽に感じるのはAにもBにも転ぶ」ということがわかったのと、「元気な時ほどAになる」ということがわかったからです。

 

筋トレなどでからだをある程度鍛えていて、かつヨガなどで背骨などに柔軟性が保持できてる場合は、明らかにA派の姿勢のほうが「ラク」だからです。

呼吸が楽で、気分もさわやかで、動きやすく感じます。

いっぽう、運動不足気味でカラダが固く、背骨や関節の柔軟性が落ちている時には、B派のほうがとても楽に感じるのです。

呼吸が楽で、動きも自由になる感覚があります。

つまり、ベースとなるエネルギーがわりと多い状態であると、Aの主張が正しく感じる。

いっぽう、ベースとなるエネルギーが枯渇ぎみのときには、Bの主張のほうが正しく感じるのです。

元気な状態でBの方式をあえてやると、気分が落ち込み、ウツっぽくさえなることもあります。

しかし元気がないときには、Bをすることで、すこし元気が戻ったりもします。

 

A,Bの特徴を見ていくと、別の分類もできます。

■A派 …… 伝統的
■B派 …… 近代的

古い様式の主張では、「脱力」と「姿勢の垂直性」を双方同時的に重視する傾向があります。

しかし最近出てきた主張では古い様式へのアンチテーゼの感もあり、「姿勢の垂直性」よりも「脱力とリラックス」を優位に置く傾向があります。

こうしてみると、もしかすると最近の我々に条件変化が起こっていると見ることもできるかもしれません。

 

つまり、最近の我々が抱える最も大きな課題は「緊張」である、という可能性です。

よって、最近の説では姿勢の垂直性にこだわるよりも、むしろ脱力を重視しろという説が増えているのかもしれません。

 

またあるいは、最近の日本人の筋力が大幅に低下してきている、ということも考えられます。

「背中は丸めたほうが、背中で息が吸えるのです。背中で吸うほうが大量の空気が吸えます」という説も、あきらかに筋力不足の人の場合のようにも考えられます。

肋骨は3D構造なので、本来前にも後ろにも左右にも、上下にさえも膨張できます。

ということは、背中が、胸がという話ではなく、全体を均等に膨満させる機能があれば、むしろ胸は開いていたほうが良いです。

自転車競技でも、坂道を登るときはぐっと胸をはらないといけません。

背中を丸めたまま激しい運動をするとイキができなくなるのです。これは、やってみればわかります。

肋間筋や広背筋などの呼吸筋の機能が低下してくると、「背中で息をする」ほうがラクになるのです。

肋骨の前側の動きがわるく、胸が開かないからです。

 

だから、以下のようにも言えます。

■A派 …… カラダが強い人用
■B派 …… カラダが弱い人用

 

ぼくが総合的に「Aが正しい」とした理由は、やはりヒトというのはある程度鍛えておくべきだという考え方からです。

ある程度筋肉があり、ある程度の柔軟性を持っている場合は、Aのほうが確実に正しい説だと感じることができます。

なのでB派のほうが正しいと感じ始めたときは、かなり肉体機能が低下している可能性もあるな、と思ったのです。

 

だから結局、どっちが正しいということでもないのかもしれません。

自分でやってみて、じぶんが楽だ、正しいと思える方式が、正しい。

たまたまぼくは、Aのほうが「合う」だけなのかも。

とくに筋トレをするようにかってからは、明らかにA派を実行したほうが、あらゆる面で体調が良くなります。

なので当面は、個人的にはB系には近づかないつもりです。

 

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