アーユルヴェーダと漢方

日に日に、調子は良くなってるんですよね。

朝〜午前中にかけて、異様にそわそわ・いらいらして、パニック発作が出ることもあって、でも午後からは落ち着く。

これが毎日100%出ていたのが、程度が弱くなったり、出ない日があったり。

最近はそんな感じです。

 

パニック障害や自律神経失調症については病院でも相談したし、本やネットでも調べたし、10年以上いろいろとやってきました。

でも結局どの話も「ふうん、そうなんだなあ」程度で、なるほどっ! とヒザを打つほどのことはありませんでした。

いわく、交感神経と副交感神経が、ストレスが、セロトニンが、アドレナリンが、ノルアドレナリンが。

ビタミンが、栄養が、体内時計が。

先生や本が「良い」といわれることはほとんどやってきたけど、べつに良くなりませんでした。

ヨガも教室に通い、4年以上続けているけれど、とくに良くなってはいません。

 

しかし最近知ったことについては、ハタとヒザを打つほどに、納得感がありました。

「肝気亢進」

病院では神経やホルモン、ストレスのせいにするけれど、東洋医学では「肝気」に原因があるとするようです。

そわそわ、イライラ、不安感など。

目の充血、のぼせ、発汗、ふらつき、動悸、めまいなど。

肝気が亢進すると、このような症状が出るそうなのです。

そしてぼくの症状は、まさにこれと完全に一致しています。

「パニック発作って、肝気亢進だったんだ」

なるほど、と思えました。

 

そして何より、その出現タイミングに関する解説が、バッチリなのです。

まず、春という季節は、肝気が亢進しやすい季節だという。

固く縮んでいたつぼみがあたたかい春の陽の光でほころぶように、寒い冬の間に萎縮していた「気」も大きくなって活発になってくるんだそうです。

そして生命力が高まり、いろんな悪いところも治そうとして、肝の気が活発になってくるという話。

これが亢進しすぎると、そわそわ、いらいら、のぼせ、不安、恐慌などの感情が出てくる場合がある、と。

そしてもうひとつ。

「午前中に集中する」

1日のなかで、朝はまさに「春」の時間帯であり、同じく肝気が亢進しやすい時間帯なんだそうです。

 

このことについては、「もしかして」と思っていたんですが、やっぱり東洋医学ではそういう考えのようでした。

https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/oriental_med/guide/column_food/column20150420_2.html

 一日の朝の初めは、一年の春に相当する。そのため、季節的に春に出現しやすい症状、朝に出現しやすい症状、週の初めに出現しやすい症状というのは、東洋医学では同様に“肝”が関係していることが多い。(中略)ここで重要なのは精神生活である。“肝”が亢進しやすい季節は、気持ちも高ぶりやすく怒りの感情が芽生えやすい。(中略)自然界の日照時間が伸びて温かくなってくると同時に、身体の代謝も上昇し、“熱のこもった感じ”や熱感を伴う炎症が生じやすい……

 

春と、春の午前中に、非常に集中して不具合が噴出する。

この「謎」について、東洋医学はビシっと答えを持っていたのでした!

これはかなり、うれしかったです。

 

ちなみに、パニック障害は必ずしも午前中に集中するというわけでもないと思います。

このことについては、おそらく「その人のリズム」も関係しているのだろうと思います。

ぼくは在宅勤務で、夜は9時に寝て朝は5時に起床します。ほぼ太陽と同じリズムで生活をしている。

だからすなおに、そのまま午前中に症状が集約されるんだと思います。

でも勤め人だったり、あるいは夜型の生活をしていたり、お酒をよく飲む生活なら、この「1日の四季」が必ずしも一定でないかもしれないと思います。

刺激やストレスの多い生活でもまた、リズムは乱れるでしょう。

ぼくも会社勤めをしていたころは出現のタイミングがまさにランダムだったのですが、独立して自営になり、早寝早起きをしてお酒をやめ、非常に規則正しい生活をするようになってから、症状はぐっと午前中に集約されていくようになりました。

生活の規則性と、発作のタイミングの規則性には、おそらく有意な関係性があると思います。

 

アーユルヴェーダも非常に説得力があったのですが、正直ピンとこないところも多かったです。

とくに「朝はカファ(水と土)の時間帯である」と言われても、実際に感じるのはもっともっと動的で強いエネルギーです。

アーユルヴェーダはかなり頭の良い理論的な人が考えたものなのか、トリドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カパ)の3元論と、「3」という数字にこだわりすぎていて、実情と噛み合っていない説明がたまに見受けられます。

たとえば1日を4時間ごとに6分割し、ヴァータ・ピッタ・カパの3つのドーシャが2回めぐるというのは、ちょっと強引としか言いようがありません。

しかしそういえば、インドの気候は実際にそんな感じかもしれません。

インドに1ヶ月ほど滞在したことがあるのですが、確かに1日の変化は日本より明確で激しくて、朝から午前中は比較的涼しく落ちついた感じはありました。

夜は寒いぐらいですが、昼は灼熱です。

夕方とか早朝という、中途半端な感じというは、確かに日本ほどは感じませんでした。

だから「3」という数字になっていったのかもしれませんね。

 

それよりも漢方がいうように、1日を4分割して四季にあてはめるほうが、日本人である僕にはしっくりきます。

朝は春、昼は夏、夕は秋、夜は冬。

調べる前にそう思いついたことが、実際に調べたらそのとおりだったというのは漢方がぼくの感性に合致しているということかもしれません。

やはり地産地消じゃないですけれども、気候帯に合ったもののほうが「合う」のかもしれませんね。

インドのアーユルヴェーダは論理的には完璧だけれども、日本の気候には合っていないところも多々あるような気もします。

 

しかし、アーユルヴェーダと漢方が、ほぼ全く同じことを言っているのも面白いです。

漢方が「肝気亢進」ということと、アーユルヴェーダがいう「ピッタ(火)・ヴァータ(風)の過剰」ということは、症状がほぼ一致するのです。

違うのは、その発生メカニズムに時間軸まで想定しているか、主に元素的な概念をベースに推論しているかというところです。

もちろん漢方が前者で、アーユルヴェーダが後者です。

そして摂取すべき食材、摂取すべきでない食材についても、かなり一致しているのです。

アーユルヴェーダはさすがインド生まれなので、スパイスや果物などの幅がかなり広く、あんまり聞いたことがないスパイスや果物もよく出てきます。

クミンとかターメリック、スターフルーツを常備している家というのは、そうそうないでしょう。

漢方はやはり東アジア生まれだけあって、セリとかウドとか筍とか、われわれに馴染みの深い野菜類がよく出てきます。

でも結局は、おおむね同じようなことが多く、とくに「すっぱいものは避けろ」「トウガラシやニンニクはやめとけ」「塩分は控えめに」「食い過ぎは絶対にいかん」「酒は慎め」「激しい運動はいかん」というあたりは、まるで申し合わせたんじゃないかと思うぐらい、まったく同じことを言っています。

 

人類が生まれてから、たぶん1万年以上経っていると思います。

なので現代人であるぼくたちが抱えている不具合は、昔のひとだって似たようなことがあったのだと思います。

それに対してみんな試行錯誤してきて、その積み重ねが、アーユルヴェーダや漢方なんだと思います。

 

パニック障害、というと、まるでつい最近生まれた病気のような気もしますが、じつは過去何千年も前からけっこうな数の人がこれで苦しんできたかもしれませんね。

もちろん、病名は違うと思いますが。

漢方ではこれを肝気亢進と名付けたし、アーユルヴェーダではピッタヴァータの不調、と考えたのでしょう。

で、その解消法については、結局同じことを言ってる。

・適度な運動にして、激しい運動はするな。
・強い疲労を感じる時には運動をすべきではない。
・肉類は原則控えるべきであるが、鶏肉、消化に良い白身魚などは良い。
・良性のタンパク質をしっかり摂るべきである。
・少食をこころがけなさい。
・強い欲を出さず、静かに過ごす工夫をしなさい。
・強い刺激、強いストレスはできるだけ避けたほうが良い。
・辛い、鹹い、酸っぱいものは避けて、甘いものを摂取するほうが良い。
・夜更かしをするな。また、いつまでも寝ていてもよくない。
・酒は慎め。
・目を酷使するな。

などなど。

 

ルーツはまったくちがうのに、養生法はほぼ同じになてくるというのが、面白いですね。

個人的には、やはり漢方の考え方のほうがしっくりきます。

というのも「季節に応じて対処せよ」というのが、わかりやすいです。

1日のうちの春。
1週間のうちの春。
1ヶ月のうちの春。

このへんを考えながら、養生すべきだというのです。

なるほどな、と思います。

 

こういったことは、西洋医学では絶対に言わないですよね。

原因は神経や栄養素、ホルモンなどの「物質レベル」で解説することがほとんどです。

さすが「実験室生まれ」の方法論だと思います。

いっぽう漢方やアーユルヴェーダは「うぶすな生まれ」という感じですね。

物質だけでなく、その土地の時間や、気候の変化が人体に及ぼすところまで考慮しています。

これはアーユルヴェーダももちろんそうなのですが、ただこの季節や時間のリズムが、ちょっと日本というか、東アジアとは違うのかなと感じます。

 

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