顎と精神

最近けっこう神経が落ち着いていることについて、「アゴを引く」ようになった、というのあるんじゃないかなと思います。

座禅を毎晩15分だけしているのですが、今回は「型」をしっかりやろう、と決めています。

マインドフルネスやヴィパッサナーでは、姿勢はそんなに気にせずに、呼吸に集中することを優先しなさい、といいます。

しかしぼくは今回「禅」をしたいので、禅が言うことに全面的に従うことにしました。

とにかく、姿勢。

禅では姿勢のことを、とても厳しくいうのです。

 

アゴを引き、脳天を天井に近づけるように。

肩の力を抜き、胸を開き、腰をぐっと入れろ。

富士山のように、どっかと安定した姿勢をとれ。

 

「姿勢よりも集中のほうが大事なんじゃ……」とかいうのは、もう却下だ。

こちとら禅にしろマインドフルネスにしろ、ど素人なんだから「じぶんのかってな意見」「知識による推理」は一切すてて、差し挟まないようにしよう。

禅の偉いお坊さんがそうしろ、というのなら「ハイっ! わかりましたっ!」と、バカみたいにすなおにしたがってみよう。

 

そうしましたら、じつはこれはこれで、すごく集中できるのですね。

呼吸とかには集中できませんけど、とにかく「姿勢維持」にものすごく意識がいきます。

そもそも座禅にしろマインドフルネスにしろ重要なのは「いま・ここ」に意識を置くことなんだから、姿勢にマンキンで集中することだって、べつに大きな間違いではないのかもしれません。

 

さてそんなふうに「姿勢」を意識した座禅を1週間続けましたら、アゴを引いて動くクセがすこしづつついてきているようです。

鏡で見ても、首が伸びてきました。

デスクワークが多いせいか、顔面を前に突き出し、アゴを上に上げたような姿勢がクセになっていたところがありました。

そうなると、どうしても骨盤が後ろに倒れてしまって、背中が丸くなってしまいます。

アゴが上がると、腰が丸くなってしまうのです。

 

ヨガでも「頭と骨盤は連携している」といいます。

アゴを引けば腰は反り、アゴを上げれば腰は丸くなる。

人間のからだは、そういうふうにできているようです。

 

こんな記事もありました。

顎を引けば人生が変わる?

http://www.daihou.ed.jp/2015/01/letter/19066.html

人間の体は、転倒しないように頭と骨盤が連動して常にバランスを取っています。
頭が前に出れば骨盤は後ろに倒れて猫背になり、逆に顎を引いて頭を戻せば骨盤が入り、
背骨が自然なカーブを描いて立った状態になるのです。
(中略)
また、顎が上がると呼吸が浅くなり、緊張や不安などネガティブなマインドが引き起こされやすくなります。
うつ傾向など、心の問題を抱える人も、顎が上がり、姿勢が悪いために呼吸も浅くなっているケースが大半です。

伊藤和麿さんというJリーグの選手の方の本からの引用のようですね。

記事にあった「姿勢を整え、心を修めるカンタン実践法」という本はamazonでは見当たりませんでしたが、同じ著者で別の本もありました。

 

「顎が上がると呼吸が浅くなり、緊張や不安などネガティブなマインドが引き起こされやすくなります」

これは禅でもまったく同じことを言うのですね。

顎が上がって前かがみになると妄想が多くなってくる、といいます。

なので、かなり厳しく矯正されるそうです。

 

このことは、ふだんの生活でも実感できるようになってきました。

いぜんのように、アゴを上げて背中をまるめてパソコンを触っていると、ひじょうにイライラします。

しかしアゴをぐっと引いて、かつ腰もぐっと入れて作業をすれば、あまりイライラしないのです。

また、妙にうすぐらいことも考えなくなります。

パニック障害にせよ、不安神経症にせよ、うつ病にせよ、まったく共通していることがあります。

「起こっていることの、わるい側面ばかり見てしまう」というクセです。

パニック障害では、からだに起こったできごとを「重篤な病である」というふうに解釈します。

不安神経症でも、いまから将来にわるいことが起こる、と予測します。

うつ病も同様で、自分自身を無価値で劣ったものと考えたり、人生や世界を間違ったものと考えるようになります。

病名は違えども、こころの病というのは畢竟「ひどい妄想」という共通項があります。

イライラする、っていうのだって、これもようするに妄想なのですよね。

なんらかの出来事について、それを都合のわるいものだと解釈するベクトルがつよいから、怒るのです。

落ち着きがない、というのもそうです。

なんかしないといけない、という妄想に取り憑かれている。

 

アゴが上がると、妄想が増える。

猫背になると、妄想が増える。

これはたしかに、そのとおりかもしれないのです。

だから妙に妄想が増えてきたときや、あたまの中で文章を読み上げるように思考しはじめたとき、イライラするとき、落ち着かない時は、姿勢を気にしてみても良いかもしれないですね。

顎を引き、腰を入れる。

その姿勢をとれば、徐々に妄想が減っていくかもしれません。

ぼく自身は、強くそう感じます。

 

アゴが上がった状態というのは、頸動脈まわりの筋肉が引っ張られた状態でもあります。

また、首の後ろの筋肉も緊張しています。

そんな状態を何時間も続けていくと、脳の血流がわるくなってしまうのかもしれませんね。

ものごとをわるいふうにしか考えられないというのは、けっして性格とか価値観ではないと思います。

それはただの、脳の機能低下なのではないでしょうか。

だって、ものごとというのはすべて、必ず良い面と悪い面があるからです。

ものごとの悪い面にしか目がいかない、気づけないというのは、やっぱりおかしいです。擁護するに値しません。

良い面も悪い面も、平等に見ることができるためには、「あたまの位置と角度」が、かなり重要なのかもしれませんね。

だから禅では、むちゃくちゃに厳しく姿勢を正すのだと思います。

 

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