レッドウィング875

やっぱり結局「かたいクツ」が好きなんだなあ。

スニーカーなどの靴底がフワッフワなやつがかなり苦手で、そういうのを履いているとなんか不安定な感じがして「そのうち足首がグネってなるんじゃないか」なんていう妄想も出てきて(なるわけないんだけれども)、不安になる。

そして実用的な側面からしても、靴底の柔らかいクツは疲れる。

これは原理的にそうで、靴底が柔らかいと地面からの衝撃を緩和するかわりに、足からのパワーも分散してしまう。

柔らかいクツはニコニコして足に優しい顔をしているようだけれども、実情は盛大に「パワー」の中抜きし、持ち主に必要以上のパワーを要求してくるまるで詐欺師、あるいは悪徳商人のようなイケスカナイやろうなのであります。

「ええ顔」をしているヤツは、人間にしろ、クツにしろ、じゅうぶんに注意したほうがいい。

 

その点靴底が薄い、あるいはかたい靴は、パワーに関してほとんど中抜きをしません。

そのまま右から左に受け渡すだけで、手数料をとらないのであります。

清廉潔白である。

だから地面からの衝撃もモロに輸送してくれるため、持ち主にとっては「痛い」場合もある。

しかしそれが、良いのであります。

ああお前はほんとうに、盗んだりくすねたりしない、まっとうで真摯なヤツであるなあ。

そんな感動をおぼえたりして、愛おしさを覚えるのであります。

まあ感動をおぼえるのは、ウソだけど。

 

「愛おしさ」については、ウソではないです。

かたいかたい、もういっさい妥協をゆるさぬ鉄の処女のようなクソ真面目・硬直型であったのに、日々お付き合いをしているうちにすこしづつ、妥協してくれるようになる。

曲がらなかったところが曲がるようになり、伸びなかったところも伸びてくれるようになる。

1ヶ月、2ヶ月、半年、1年・・・とお付き合いをしていくうち、ふと気がつくと、

「もう、あなたじゃないとダメなの」

的にお互いがピッタリと寄り添い、これはもしかしてソウルメイトではないかと思ってしまうほどの深い関係性と信頼関係が出来上がっていたりする。

ツンデレである。

かわいいのである。

愛おしいのである。

 

リーガルの革靴などがまさにそれだけれども、かたいクツ界のほぼ頂点に立っているのが「レッドウィング」であります。

レッドウィングもともとはワークブーツだったから、履きやすさとか人間工学とかクッション性とかそういうシャラクサイことよりも「足の保護」ぐらいなことしかあまり考えていない、勤勉実直型脳みそ筋肉系のクツであります。

ぼくのように「かたいクツ好き」は思った以上に多く、レッドウィングのファンは世界でもけっこういるらしいです。

今回安くなっていたのもあって、「アイリッシュセッター875」というのを買いました。

レッドウィングのブーツのなかでも、たぶん最も普及しているモデルだと思います。

 

見た目はカワイイのであります。

しかしカワイイくせに頑固で、融通が効かず、くそまじめで、重く、カタブツで、愛想も良くない。

「ワタシはクツなのであって、おまえの奴隷ではない」と全身が主張しておる。

例えるなら、成績は学年トップで風紀委員なんかも歴任してきた、見た目は可愛く姿勢正しいカタブツの巨乳女性生徒会長、といったところでしょうか。ちがうかな。

 

ちがうかもしれないけど、ほんとにカタいのです。ウソみたいである。

新品だとまずすんなりと足が入らないし、入ったらこんどは脱げないし、足首がまったくもって曲がらないから、歩いたらロボットみたいになる。

革が硬いから足のあちこちが当たって、擦れて、痛い。

全国のレッドウィンガー(レッドウィング愛好家)は、みんな痛い痛いいって「泣きながら」履き慣らすのだそうです。

ミンクオイルをたくさん塗れば柔らかくなるとか、全面的に踏みまくればマシになるとかいろいろ言うけど、本質的には関係ない。

これはもう履いて履いて履いて、歩いて歩いて歩き回らねば、結局どうしようもないであります。

革の登山靴と、ほとんどおなじですね。

 

しかし、革の登山靴よりはすいぶんマシでしたね。

「新品は家の中でしばらく履いておく」というのが良いと聞いたので、そうしてみたら、1時間もすればけっこう足に馴染んできました。

翌日散歩に行ってみたところ、最初こそかなりの違和感がありましたが、20分もすればある程度曲がるようになってきて特に問題なく歩けるようになりました。

すくなくとも、泣くほどのことではありませんでしたね。

革の登山靴に比べたら、こんなもん、スニーカーみたいなもんであります。

レッドウィングが仮に「成績は学年トップで風紀委員なんかも歴任してきた、見た目は可愛く姿勢正しいカタブツの巨乳女性生徒会長」だとしたら、革の登山靴はもう「岩」ですね。

もはや、種類が違うのであります。

 

さておきこの「硬さ」こそが「一生履ける」とさえ言われるフィット感の主原因なのだそうです。

履き込んで足の形に馴染んでくると、もともと硬いのでそのカタチが崩れることもヘタることもなく、長い間いい履き心地でいてくれる。

ジーンズに似ていて、最初は硬く、キツいぐらいのほうがむしろカラダに合うようになってきて、何年も心地よく着られるというのがあります。

「すぐに役立つことは、すぐに役立たなくなる」

「すぐに役立たかなかったことは、長い間役立つ」

このことは服飾においても、同じことがいえるのかもしれませんね。

 

「レッドウィングをなじませるための散歩」

これもまた、楽しいものです。

あー、散歩行きてえ。

 

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