もう、治らないんじゃないかな。
これはもうぼくの遺伝子にプログラミングされていることで、いくら努力したって無駄なんじゃないかな。
ふと、そういうことを考えてしまうことがあります。
パニック障害はいろんな努力をしてみても、マシになることはあっても、すぐにぶり返す。
運動なんかが、いい例です。
ジョギング、筋トレ、ふだんから運動不足気味なので、いろいろ試しています。
ジョギングと筋トレについては、明らかな即効的効果があって、ひじょうに気分が良くなります。やる気もわいてきます。元気になります。前向きになります。
しかしこれを1ヶ月ほど継続していくと、必ずといっていいほど、かなり強い「ぶり返し」があります。
このぶり返しは、以前よりひどくなっているぐらいの、ぶり返しです。
これは好転反応なんだ、めんげんなんだ、毒素の排出なんだ、なんて言い聞かせて頑張ったりするのですが、どうもいつまでも治らない。
そこでしばらくジョギングや筋トレをやめてみたら、ひどくなっている部分については、すぐに落ち着いてきます。
「中〜強度の運動は効く」
これは確かにそうなのですが、1ヶ月、2ヶ月というスパンで見てみると、少なくともぼくの経験では、あてはまらないようです。
そんな感じなので、ついあきらめてしまいそうになるのですが、負けるかボケ。
こんなことぐらいでへこたれるほど、おじさんというのは甘くない。
ねばるぞ。俺は。
さて、そういうことで、今本気で試そうと思っているのが「アーユルヴェーダ」です。
ぼくは4年ほどヨガをしているのですが、このアーユルヴェーダというのはネットなんかでサクっと調べてチョコっと試してみる、ぐらいなもので、しっかり学んだことはありませんでした。
どうせ何をやってもうまくいかないのなら、これも1回、ちゃんと勉強して実行してみようと思いました。
ひとつ、「なるほど」と思うところはあるのです。
ぼくはアーユルヴェーダの体質でいけば「火」が非常に強く、その次に、火と同じぐらいのレベルで「風」が多いです。
そしてパニック障害を患うヒトには、火と風の体質のヒトがとても多いそうなのですね。
で、火の強いひとは、強い運動をすると体調を崩すことがあるんだそうです。
運動強度は強くなるほど「火」が強化されるので、もともと火の強いひとがこれをやると、火が過剰になって、精神的にも怒りっぽくなったり攻撃的になったりしやすいとか。
これ、すげーわかるんですよね。
強めの運動を長期間継続すると、コントロールできないほどの「怒り」がメラメラバーニングしだすんです。
ちょっと自分でも怖いぐらいです。
ちなみに強い運動をしてもタイジョウブなヒトは、体質が「水」に属するヒトなんだそうです。
そういうひとは「運動の火」の影響を受けにくいんだそうです。
さて、じゃあ火と風のぼくは、もう一生強い運動ができないのか?
それは、そんなことないんだそうです。
今の体質が火と風に偏っているので、このバランスを整えれば、強い運動をしたって大丈夫になるようです。
で、この体質の変更は、結局食生活にかかっている、と。
我が家は基本和食メインで、魚や野菜もよくとるし、けっこうバランスの取れた食事だと自負しています。
しかしこのアーユルヴェーダ理論から見てみると、とても意外でした。
我が家の献立は、火と風を強化するものばかりで、それも大量だ。
魚、魚の干物、かつおぶし、漬物、味噌、しょうゆ、唐辛子、牛肉、レバー、たまねぎ、にら、にんにく、きのこ類、トマト、豆類、らっきょ、酢の物。
上記に書いたものは、ほぼ毎日どれかが出てきますし、それも大量です。
塩味もきついほうです。
もともと母親の実家は農家で肉体労働だったから、こういった「精のつくもの」を「大量に」摂る習慣があったようなのです。
やや少食の友人などを我が家に呼んで一緒にメシを食うと「ウマいけど、むちゃくちゃ量が多いな。食いきれない」と、よく言われます。
それほどの量を食べているのに、我が家はみんな、べつに太っていません。
この「食ってもあまり太らない」というのもまた、火や風の体質の特性なんだそうです。
ちなみに、我が家には大きな冷蔵庫がふたつあります。4人しかいないのに。
その中には、大量の食材が常に常備されています。
普段からいかに大量に食っているかの、証拠でもありますね。
「健康によい食事」
ぼくがそう定義していたのは、お医者さんや栄養士さんがいう「バランスのとれた食事」でした。
だから、食材それぞれの「性格」までは、考えたことがありません。
アーユルヴェーダでは「食べ物の性格が、ひとの体質や性格を形成する」と考えるんだそうです。
この考え方、確かにあまり科学的な感じはしませんが、案外ありうると思います。
にんにくや唐辛子をよく使った焼き肉を毎日食う生活をしていると、たしかに攻撃的で熱い性格になってきます。
韓国の人たちには「火病」という国民病があるそうで、これは唐辛子のとりすぎなのではないか、という説もあります。
火を強化するものを常食していると、からだも、こころも、火のようになる。
それはあながち、荒唐無稽として一笑に付すべきことでもないのかもしれません。
食べるものにも、性格がある。
この論法、ぼくにはかなり、説得力があります。
辛いもの、塩辛いもの、乾燥したもの、硬いものを、よく食べる。
我が家はみんな熱くて、気が強くて、声が大きくて、頑固な性格で、血圧が高いけど、いがいと遺伝子だけじゃないのかもしれないです。
同じ食べ物をとっているから、そうなったところもあるのかもしれません。
ちなみに親父や母親は、「水」の特性が強いようです。
だから、火の強いものを食べても、それほど影響を受けなかったのかもしれません。
しかしぼくは生まれつき、細くてひょろひょろで、もともと「風」の特性が強かったようです。そこに「火」の要素が入ってきたことで、ぼくは必要以上に「燃えて」しまった可能性もあります。
発作を起こすたび、毎回感じるんです。
これはウツ系の「落ち込んでいる」とか「ふさぎ込んでいる」とか「気力がない」という状態とは、全然ちがう。
パニック発作は「上げすぎ」「暴走」「炎上」「激昂」という、爆発系統の状態なんですよね。
まさに火炎と暴風。こころも、からだも、大火事なのです。
対処療法的に押さえつけるのではなく「火元から鎮火する」必要があるのでは……。
その方法のひとつとしてアーユルヴェーダを選択してみよう、そういう考えです。
アーユルヴェーダが良いのは、べつに特別なものを飲み食いする必要はないところです。
多すぎるものを減らし、足りないものを増やす、そういうことでひとまずは充分のようです。
なのでアーユルヴェーダがいう「火と風を強化する」ものを減らし、鎮静させるものにシフトしたとしても、栄養バランスも、調理の手間も、そう変わりません。
それほど神経質になる必要もないので、試す価値はあるかな、と思っています。