ぼくは一瞬、血の気が引いたのであります。
基本的にオカルティックな物事は信じていません。
しかし今日掃除をしていたときにそれを発見して、背筋に「おぞぞ」が走りました。
風呂場の横の洗面台近くの壁に、ピンクあるいはオレンジ色の汚れが見えたのです。
「ははあ、娘のヤツ、ここに口紅か何かこすったな?」
ぼくは掃除好きだけどべつに神経質というほどではないので怒るでもなく、まああとで拭いておくかな、っていう程度で終わるはずだったのです。
あれ。
おかしい。
ちょこっと線がついているだけかと思ったら、それは思ったより広範囲で、どんどん下につながっているのです。
少し下がって眺めて、やっと気が付きました。
「文字だ!」
写真ではわかりにくいですが、明らかに何かが書かれているのであります。
ただ肉眼でもはっきりと読めるわけではありません。
上から順番にいくと、
「ガチ・・・ン・・・・・・禅・・所・・・・」というふうに見えます。
そして後半、それは間違いなく
「お願いします」
と書かれていのでした。
お願いします
おわ、おれ、何かお願いされちったよ!
でも読めねーよ!
肝心なところが、意味わかんねーよ!
ピンク色ってのがまた「血文字」みたいで怖いよねえ。
念の為「ウタマロクリーナー」でかなり強くこすってみましたが、いっこうに消えない。
娘に連絡してもまったく知らない、ということでした。
ふぇえええ。
おしっこ漏れちゃうよう~~~。
突如幼女化してその場でチビりそうになりました。
と、そのとき・・・・・・!
なぜか背後から、むわっとした「熱気」を感じたのであります。
ぼくは戦慄をおぼえ、とっさに振り返りました。
すると、なんと、
蛇口から「お湯」が出っぱなしになっていた。
アカーン!
もったいない!
雑巾をしぼるとき出した水が「お湯」のほうで、蛇口を締め忘れていたのでした。
とっさにそれを止めて、思った。
「施工メモじゃね?」
この家を建てるとき、大工さんが赤いマジックかなんかでこの部分に電気関係かなにかの職人さんにメモを残したのではないか。
その上にそのまま壁紙を貼ったもんで、年月が経つうちにそれが表に滲み出てきたのだと思います。
赤いマジックって、薄まると蛍光ピンクぽく見えますからね。
人騒がせな!
いやあ、身に覚えのない文字が壁から出てくるって、やっぱり「怖い」もんですね。
「禅」と見えた文字も、よくよく見れば「木へん」でした。
「(なんとか)工をお願いします」って、書いてあるんでしょうね。
消してから壁紙貼れっつうの。
ほんとにもう、「見えなかったらいいじゃん」っていうのは、やめなさいっ!