結局ジーパンが好きなのだなあ。
毎年、夏〜秋に1本買ってしまう。
そんなによーけジーパンあってどないするねんお前はタコかと言われたら、いいえちがいます私はタコではありませんとしか言いようがないのであるのですけれども。
今年は「SUGAR CANE 5年モデル」というのに手を出してみました(入れるのは脚だけど。ていうふうにいちいち断るのは、かなり気持ち悪いかな。でもいいかな。もうおじさんだし)。
もともと「リジッド」という、ノリつきの完全新品状態をド根性で履き慣らしていくのが好きで、これはもしかすると「処女好き」というような心理学的行動原理のようことのがあるのではないかと、個人的に思っています。
ド新品のジーンズというのはとにかく固く融通が効かず、拒否的で、まさに処女的であります。
ことあるごとに「ダメ!」「イヤ!」ばっかりいう。
油断すると青い染料がクツとかパンツとかにもつくし、白いものとは絶対に一緒に洗えません。
ゴワつくわ、硬いわ、キツいわで、履きにくいったらもう、ありゃあしない。
しかしそこをグっと堪えて何年も履いていくうちに、
「もう、あなたでないとダメなの」
的に、持ち主の体型や行動パターンに即して変形し、柔らかくなり、収縮によって体型にも合ってきて、どんなズボンよりも履き心地が良くなってきます。
「おれも、おまえじゃなきゃダメなんだ」
っていうふうになってくる。
これが「イイ」ので、めんどうなリジッドを買うのであります。
しかし今回はこともあろうか、人妻に手を出してしまったのであります。
いや……新品だから、人妻ってことはないのかな。
いわゆる「エイジング」という処理をしたもので、だれも履いてないんだけれども、何年も履きつぶしたような処理をしているジーンズ。
これはアレかな、あえてたとえるなら「耳年増の処女」みたいなことになるのだろうか。
べつにいちいち例える必要はないがまあ、そういうことである。
SUGAR CANE 5year Aged 1star というモデル。
つまり「5年間履いたもの」を再現した新品、ということらしい。
こういうのは本来ぼくのコダワリからして「ナシ」だったんだけれども、最近どうもそのへんの膠着がトロけてきてしまって、べつにいいじゃん、って思うようになった。
リジッドやワンウォッシュから履き始めると、「いい感じ」になってきた頃はもうヘタりはじめて弱くなっている、というカナシミがあります。
長年苦楽をともにして付き添い、ようやくツーといえばカー的大変ラクな関係性になったのに、その頃には妻は残念ながらもうシオシオのパーであるというのに似ている(そのうち誰かに殴られるな俺)。
その点こういったエイジングものは最初から「いい感じ」を堪能できるメリットがある。
……っていうのは屁理屈で、つまりはようするに、「一回買ってみたかった」だけです。
もう最初から「ヒゲ」ができてます。
「ハチノス」という、膝の裏の「アタリ」も見事です。
これって案外、できないんだよなあ。
キッツキツのパッツパツのやつを根性履きしてないと、なかなかできないアタリなのであります。
ていうかこれ、ほんとに新品なのか?
だれかオッサンが履いてた中古じゃないだろうな、と疑うほどの出来栄えです。
どう見ても新品に見えないですね。
ポケットのペイントも、もう剥がれかけてるし。
商品タグにさえもエイジング加工がされていました。
ううむ、ここまでいくと、これはもう「作品」ですなあ。
3000円ぐらいで買えるエイジングものは「てめー。それ加工しただろ」っていうのがミエミエのものが多いですが、これはレベルが違いますね。
履き心地も「古いジーパン」そのものでした。
もうすでに生地が柔らかくなっていて、ゴワツキがありません。
とはいえ新品ではあるので、これから「伸びて」いくとは思います。
ジーンズって、履けば履くほどだんだん伸びてくるんだよなあ。
率直な感想。
「ラク」
人間と同じで、若いヤツってやたら突っ張ってて、主張がヒドくて、我が強くて、一緒にいるととても疲れるんですよね。
でもあるていどクタびれてきたヒトのほうが包容力があり、いい意味でいい加減で控えめで、リラックスした関係を構築しやすいというのはあります。
エイジングデニムも、今後アリだな。
そう思わせてくれるジーンズでした。