ああ、確定してしまった。
やっぱり、娘の部屋が原因だったんだなあ。
ここ1ヶ月半、欠かさず毎朝掃除をしていたんです。
なのに、とくにぼくの寝室と階段に、毎朝けっこうな量のホコリが出ていたのです。
だからホコリというのは想像以上にたくさん毎日出ているものなんだ、と考えたのでした。
ホコリは毎日出る、それは間違いないです。
でもやっぱり、そんなにたくさんは出るはずがないんですよね。
昨日娘が引っ越しをして、空いた部屋を掃除しました。
そうしたら、朝起きて寝室の掃除をしましたら、ほとんどホコリがありませんでした。
毎朝うっすらと机のうえにかぶっているホコリもありません。
そしてこれが何よりの幸いですが、ここ数ヶ月ずっと胸が息苦しく、気管支がヒーヒー言っていたのが、けさから急にマシになっているのでした。
呼吸が、ラクだ。
ぼくの寝室は北側で、大きな窓が2箇所あります。
家じゅうのドアと窓を開けて換気すると、この時期は南方面から風が吹くので、南側にある娘の部屋と仕事部屋から寝室に風が流れ込み、そこにホコリが集約されていたのでした。
娘の部屋にいつもホコリがなかったのは、ぼくの寝室に全部流れ込んでいたからなのでした。
娘はけっこうキレイ好きで、まあ親ばかかもしれませんが、きっちりしているほうだと思います。
だけどやっぱり、家具のうしろとか、ベッドの下とか、家の中の死角にあたるようなところは掃除がきちんとできていなかったようです。
娘も女子大生ですから、あまり男親がズケズケ部屋に入り込むのはどうかと思い、留守中に換気のために窓を開けて軽く床の掃除をするにとどめていたところがありました。
引っ越しの昨日、すべての荷物の搬出を終えたあと、娘の部屋には膨大な量のホコリがありました。
それを取り除き全面的に拭き掃除をしましたところ、翌日の朝には2階のどの部屋にもほとんどホコリは出なくなったのでした。
「いくら掃除しても、ホコリがいっぱい出る」
それは多分に「他の部屋」が原因なのかもしれないです。
娘が特別にだらしないわけではないと思うのです。
むしろ、よくやってるほうだと思う。
しかしホコリは、毎日、毎日出てるのです。
そしてホコリは、まるでゴキブリのように、「見えないところ」に逃げていく。
だから目に見えるところだけ掃除をしていてもあまり意味はなかった、ということです。
ゴキブリはいったん隠れてしまえば出てきませんが、ホコリはひとたび風が吹けば、どんどん出てくる。
そしてそのホコリは、陰圧が低いところに移動していく。
ぼくの家の場合は、寝室でした。
結果その場所は家の中で最も不浄の場所になってしまう。
そこで寝ているひとは、災難です。
冗談抜きで、マジもんの病気します。
老人性肺炎の多くは、掃除を怠っている、あるいは誤った掃除をしているからなんだそうです。
そういえばぼくの両親は、けっこうきれい好きだし、きっちりしています。
なのに父親は、ぼくと同居するまえ、2度も肺炎にかかって入院していました。
両親と一緒に住むようになって、わかりました。
たしかに掃除はよくしているけれども、死角だらけなのです。
我が家にはトイレが1階と2階にあって、両親は1階のトイレを使っていたのですが、1階のトイレの便器の後ろ側には、大量のホコリが蓄積していました。
それに気づいたぼくは必死で掃除しましたが、じつはそれ以降、ぼくの肺の調子がわるくなったこともあります。
トイレというのは陰圧がかかりやすく、他の部屋のホコリを集約しがちなんですよね。
トイレはふつう狭く、換気扇があったり、なくても小窓があったりします。
密閉した部屋の小窓を開けた状態で外に風が吹くと、部屋の中には強力な陰圧がかかります。
その陰圧で他の部屋のホコリをドアの下から吸い込んでしまうのです。
吸い込んだホコリは、便器の後ろ側や奥のスミなど、「かくれたところ」にどんどん蓄積していく。
長期間それを放置していると、湿度が高く不潔になりがちなトイレゆえ、蓄積したホコリに有害な細菌が繁殖しはじめる。
なにかの拍子に、たとえば直接窓から風が入り込んだときなど、蓄積されたホコリがどっと家の中に流入すると、抵抗力の低い老人はいっぱつで肺炎になってしまうのだそうです。
きっちりしているように見えるひとでも、油断ならないのです。
いまでも両親の部屋やリビングに行ってカーテンレールの上や冷蔵庫のウラ、テレビ台の下などをたまに見ると、どっさりとホコリが溜まっていることがあります。
両親はほんとうにきれい好きで、しっかりした人なのです。
神経質といっても過言ではないかもしれません。
よく掃除機もかけていますし、母は床の雑巾がけさえしていますし、洗濯ものや洗い物を放置したりすることなど、絶対にありません。
それでも「死角」を放置していたら、ほんとうにまったく、意味がなかったのです。
ちょっと強い風が吹いただけで、暗部で蓄積し発酵したホコリが、へやじゅうを舞う。
それを吸ったら、肺炎になってしまう。
いくら神経質でも、誤った掃除をしていたら、ほんとにまったく、意味なかったんですね。
まったく、意味がない。
見た目がいくらキレイでも、死角を長らく放置していたならば、それは疫学的には掃除をしていないのと完全に同義なのでした。
「自分の部屋だけ」「使う部屋だけ」を掃除したって、あまり意味がなかったのです。
同じひとつ屋根の下、たしかに部屋は便宜的に隔絶されているけれど、やっぱりつながっている。
どこか一部屋でも掃除をサボっていたら、時間をかけて、陰圧陽圧の関係で、ほかの部屋をどんどん侵食していくのでした。
じぶんの家の空気の流体特性ぐらいは、ちゃんと把握しておこうと思います。
なにをしに、学校行っとったんじゃ。
どうでもいいことにアタマを盗まれてるばあいじゃない。
自分の身は、自分で守る。
そのための最も基本的な努力は「掃除」ですからね。
お守りやパワーストーン、神棚なんか、まったくの無功徳です。
なにひとつ、守ってはくれない。
正しい掃除こそ、万能結界。
反省しました。