毒が毒を排出する。「毒との共生」の必要性について

2年ほど前から母が若干ボケはじめ、アルツハイマー病の初期だという診断を受けた。

現在ではすこし悪化している感があるのだが、本人が何かと理由をつけて病院に行きたがらない。

この通院の拒否もまたアルツハイマー病の症状のひとつだそうである。

 

そこでいろいろ調べてみたところ、アルツハイマー病を改善するヒントになるかもしれない記事を発見した。

脳細胞に咲く「毒の花」がアルツハイマー病の真の原因と判明!

従来、脳細胞に「アミロイドβ」というタンパク質が蓄積することがアルツハイマー病の原因とされてきたが、どうやらコトはそう単純でもなかった。

元凶とされているアミロイドβを減少させる薬を用いても結果が伴わないことが非常に多いからである。

そこで研究を続けていった結果、つまりは「アミロイドβが発生する原因こそが原因」ということがわかったそうなのである。

アミロイドβは副次的な結果に過ぎず、直接原因ではなかった可能性がある、と。

最大の原因は「脳に咲く毒の花」であった。

脳に発生するゴミ(情報としてのゴミではなく物質的な老廃物)が分解できなくなり、それが蓄積したものが「毒の花」で、これこそがアルツハイマー病の真の原因ではないか、と仮説している。

この毒の花はアミロイドβの供給源にもなっていて、だからアミロイドβは原因ではなく「結果」に過ぎなかった、と。

また、脳のゴミ処理機能が低下するのは「脳の掃除屋」リソソームの酸性度の低下によるものだそうだ。

だから今後は、リソソームの酸性度を回復する薬品の開発が根本的治療に役立つのではないかと期待されている……。

 

いっぽう、面白い統計もある。

梅干しを毎日食べる人には認知症が有意に少ないのだそうである。

梅干しに大量に含まれる「クエン酸」や、アルカリ性食品であること、抗酸化作用があることなどが関係しているのではないかと仮説している。

 

また、インド人はアルツハイマー病の発生率が極端に低いという統計もある。

インド人のアルツハイマー病の発生率はアメリカ人のなんと1/4なのだそうである。

アルツハイマー病の発症率と辛い食べ物の消費との間には地理的な重複があるという話もあり、辛味成分(カプサイシン)を多く含む食事の摂取がアミロイドβの値の低下に寄与しているのではないかとする説もある。

 

適量の飲酒者はアルツハイマーになりにくいという統計もあり、ニコチンがアルツハイマー病の予防につながる可能性についての研究も行われている。

認知症とは関係ないが、喫煙者には花粉症になりにくいという統計もあり、昨今は神経症的な禁煙風潮につき無視されがちだが、じつはニコチンやタールには「薬効」があるのは事実のようである。

 

こうして見ていくと、ひとつの共通項を感じる。

それは「毒との共生」という概念である。

アミノ酸に疲労回復効果があるのは、じつはアミノ酸は「毒」だからなのだそうである。

アミノ酸を摂取すると身体がこの毒を排出しようとするため解毒作用が活性化し、血行促進などになるそうだ。

この機序はアルコールとまったく同じで、アルコールもまごうことなき「毒」であり、これを摂取すると身体は排泄機能を活性化させる。

トウガラシなどの辛味成分カプサイシンや、ニコチンなども同様で、少量の毒は身体の排泄機能を活性化させるため、さまざまな老廃物の掃除になるようである。

 

そういえば、ぼくの母の食生活には気になる点がある。

母はとにかく甘いもの好きで、炭水化物が大好きである。

しかし酸っぱいもの、ピリ辛のものが大の苦手でほとんど摂取しない。

梅干しはもちろんのこと、若いトマト、各種柑橘系の果物など酸っぱいものはまったく食べず、「酢めし」が嫌いなため寿司も食べられない。

辛いのが苦手なのでトウガラシも嫌い、ネギも嫌い、ショウガも嫌い、カレーも嫌い、胡椒も嫌い。

それに加えてまったくの下戸で、タバコも吸わない。

放っておいたら米、イモ、豆、はちみつ、甘いお菓子で生きているような女である。

いわゆる「人工物」も忌み嫌い、インスタント食品や化学調味料は一切摂取しようとしない。

いっぽう父はむかしは喫煙者で、80歳の今でもまあまあの酒飲みである。

酸っぱいものも辛いものも平気で食い、インスタントだろうが何だろうが平気で食う。

なのに身体もアタマもシャキっとしていて、すくなくとも認知症の兆しはまったくない。

 

「毒を一切摂取しない」という生活が、もしかしたら母の認知症を加速させたのではないかという疑念が浮かぶ。

酸っぱい、辛いというのは、身体がそれを「毒である」と認識しているからだ。

だからそれを摂取すると排泄反応が起こり、体内の毒素を一気に排出してくれる。

逆に言えば、「毒」を一切摂取せず、安全で心地よいものばかりを食っていると排泄作用が鈍り、体内に毒が蓄積していってしまうのかもしれない。

少量の毒を喰らえば、「脳の毒」もいずれ排出されるのではないか……

そのような観点から、最近は母に1日1個梅干しを食べさせている。

 

研究者は「リソソームの酸性度回復」を科学的ミニマルな見地で模索してくれている。

しかしホリスティックな見地からすれば、これは要するに「毒の排出作用の活性化」ということにつながっていくのではないかとぼくは考える。

人体は近視的に見れば複雑怪奇で精妙な構造をしているが、大きな視点で見ればとても単純にできている。

「あたまの毒」を排出したければ、「排出する機能」を強化すれば良い。

むろんそこまで単純とは言えないのかもしれないが、さまざまな統計を見ていると、結局そういう話になっていくのかな、と思ったりするのである。

 

栄養のことを四の五の考える人や、ヨガなどのイデオロギーに汚染され「きれいな食生活」を励行している人よりも、清濁併せ呑む的になんでもかんでも食う人のほうが「圧倒的に」健康である。

この現象は「気にしないからだ」という精神論的なことではなく「毒を食らっている」という、このことじたいが直接的に関係しているような気がするのである。

毒を食らうからこそ、毒は出ていく。

そんな現象が人体にはあるのだろうと思うのである。

 

「きれい」を突き詰めると、逆に「ケガレ」が満ちていく。

この世界でも「理想」を中心に据えるからこそ戦争が起こり、エロ本を禁止すればレイプ犯罪が増え、禁酒法を施行するとヤクザがはびこる。

世界をきれいにしようとすると、世界はきたなくなるのである。

人体もきっと同じだろうと思う。

きれいなもの、うつくしいもの、かわいいもの、やさしいもの、正しいものばかりを食らい、そのようなことばかりに接していると、その人はいずれ毒に満たされ、その人自身が猛毒になっていくであろう。

 

毒とともに生きる。

毒をゆるす。

そのような観点も人間にはきっと必要なのだろうと思う。

まあようするに、

屁理屈言うとらんと、なんでも食えや。

 

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