ほんの数ヶ月前まで、ぜんぜん逆のことを言っていました。
お風呂では、あまりカラダを洗わないほうが良い
と。
そういう話が、けっこうあるんですよね。
石鹸でからだをゴシゴシ洗うと皮脂が流れてしまって、皮脂に含まれる常在菌も死滅して、かえって不潔になってしまう、とか。
また、皮膚は肝臓とつながっているから、石鹸で皮膚を洗うと皮膚再生に肝臓を酷使するので、あまり頻繁に石鹸は使わないほうが良い、とか。
石鹸は皮脂を強力にこそぎ落としてしまうから、かえって肌のキメが荒くなる、とか。
これらはたぶん、本当なんだと思います。
でも、どうも不可解なこともあるんですね。
ぼくは上記のことを信じて、ことしの2月ぐらいから「タモリ式入浴法」っていうんですかね、からだを石鹸では洗わずに流すだけで、あとはゆっくり湯船につかるだけ、っていう。
それを続けてきました。
まあ実際、肌はしっとりしてくる感じはあります。
しかし、どういうわけか「ウツっぽく」なってくるんですよね。
どう説明していいかわからないんだけれど、なんかこう、どよーんとしたオーラのようなものがからだ全体を覆っているような感覚がいつまでも抜けないのです。
これも慣れなんだろう、そのうちきっと、大丈夫だ。
しかしこの「どんより感」はいつまで経っても抜けることはなく、そのうちだんだんお風呂に入ることさえ億劫になっていくのです。
しまいには、お風呂でパニック発作を起こすことさえ出てきました。
何日かお風呂を飛ばすことも増えていきました。
もともとはお風呂は好きなほうだったので、なんかおかしいなあと思っていたんです。
で、先週末から「石鹸と健康タオル、シャンプーでがっつり洗う」ことを再開したのです。
そうするとどうでしょう、あんなに億劫だったお風呂が、全然楽しみになってきました。
そしてあの妙などんより感もなくなって、ウツっぽい感じもなくなっていくのです!
そういえば、上記の「からだ・あまり洗わないほうがいい説」は、あくまで肉体方面の話です。
気分的なこと、精神的なことにはあまり触れられていないのですね。
やっぱり、石鹸でバッチリ洗うと、すごく気分がスッキリするんですね。
お風呂上がりの、かすかな石鹸やシャンプーの香りもなかなか爽やかです。
「ああ、私はとてもきれいになった」
そんな気分にすっかり浸ることができます。
しかしいっぽう、例のタモリ式入浴法だと、この無上のスッキリ感があまり感じられないのです。
お風呂から上がっても、あまりきれいになった気がしない。
なんかこう、からだのあちこちに「不浄なもの」がくっついたままになっている、そんな気が少ししてしまうんですね。
ごく些細な違和感なのですが、これが1ヶ月2ヶ月つづくと、どうも精神的に良くないのかもしれません。
ひとつには「におい」があるのかもしれないです。
ぼくはイヌなみにニオイに敏感で、風向きや体調によっては、わりと遠くにいる「風邪をひいている人」に気がつくことさえあります。
炎症した粘膜のにおいが、するんですね。
そんなだから、石鹸を使わず何ヶ月もタモリ式入浴を続けていると「じぶんの体臭」を感じてしまうのかもしれないです。
理論的にいけば、常在菌が悪い菌を殺してくれるので、1ヶ月も石鹸を使わない入浴を続けていけば体臭は消えるのです。
また皮脂の代謝も正常になるので、ネバネバ感もなくなっていく。
じっさい最初すこしネバネバしていた頭は、そのうちほとんど油っ気がなくなっていきました。
また、脇の臭いもどんどん消えていきます。
しかし!
そのかわり「別のにおい」が出てくるんですね。
これは家族さえ気が付かない、何かのニオイなんです。
例えると、ひじょうに大げさな言い方だけど「けもののにおい」がしてくるのです。
しかしこれはたぶん誰も気が付かない、かすかな、かすかなニオイです。
でもぼくは、異様にハナが利くときがある。
たまに、このニオイに「ウッ!」となることがありました。
人間とは少しちがう臭いが、しはじめるんですね。
いちおう断っておくと、ぼくはべつに、人の体臭を毛嫌いする性分ではありません。
まあさすがに、あまりにキツいワキガはいやだけど、一般的な汗とか脇、足のにおいになどには、それほど神経質ではありません。
もちろん好きではないけれど、毛嫌いするほどでもない、という感じです。
石鹸を使うのをやめて、常在菌によるマイクロバイオームでの自浄作用が活発になると「けだもののにおい」がしてくるんでしょうか。
悪玉菌を殺したあとの瘴気のようなものが、立ち上がってくるのでしょうか?
ま、そんなことはないか。
もしかしたらこれが「加齢臭」なのでしょうか? どうなのかなあ、娘はべつになにも臭わないといってる。
わからないな。
ただ確実に言えるのは、このニオイを毎日かぎ続けるとなんだかテンションが下がっていってしまうということです。
それにお肌がサッパリしないのも、どうにも気分の清浄さを損なうところがあります。
べつに結論はないんですが、思いました。
やっぱりおれは、毎日しっかり石鹸で、からだを洗おう。
常在菌とかマイクロバイオームとか皮膚のライフサイクルとかいうのは、それはまあ確かにそうなんだろうけど、うちのオトンもオカンも、何十年も前から毎日石鹸でガッツリ洗ってても、皮膚はきれいだし頭もハゲていません。加齢臭もしません。
これも「合うひと」「合わないひと」があるんだと思います。
お風呂は何よりもスッキリするために入るものです。
本人が気持ちよければ、それでいいじゃないの。