実践あるのみ、実戦あるのみ

先日読んだ「禅マインド ビギナーズ・マインド」をまた読み返しています。

 

もともと英語で書かれていた本を和訳したものだから、わかりやすいと思っていました。

以前禅の本を読んでも、あまり理解できないことが多かったからです。

しかしこの感想は早計で、この本をわかりやすいと思ったぼく自身にも、変化があったのだと思います。

以前は理解できなかったことでも、いまは理解できることが増えている。

理解、というよりも「腑に落ちる」といったほうが近いかもしれません。

もし仮に10年前、たとえばパニック障害を発症する前にこれを読んでいたとしたら、いまのようにスルスルと腑に落ちただろうか。

薬を一切使わずに自力で治すという道を選ばず、これと闘うことをあきらめていたら、このように腑に落ちただろうか。

 

悩み、悩み、考え、考え続けたからこそ、ほんの多少ではあるけれど、理解ができるようになったのだと思います。

なにを言ってるかわからん、こんなの面白くもない、たぶんそう思っていたと思います。

そもそも、こんな本じたいを読もうなどと思わなかったかもしれません。

しかしいま、ぼくはこの本がとても魅力的に感じる。

これは、ぼくじしんが変化してきていることのあらわれだと思いました。

 

私たちにとっては、完全性というものは、不完全性と異なることはありません。

 

10年前なら、確実にこう思ったでしょう。

は?

なにゆーとーねん。

ことばあそびしてるんじゃないの。

 

ちがう。

これはまさにまったく、正確にそのとおりのことを言っている。

と、いまのぼくは、思う。

具体的になにがといわれたら、すぐにはたとえが思いつかないけど、これはほんとうに、そのとおりだと、今は思える。

両極と両極が合い通ずるように、完全性と不完全性は不連続ではなく、連続した平面上に同時に同座標に存在している。

 

いくら知識を身につけても、理解できないことがあります。

この世には、Webデザイナーになって独立し、在宅で仕事を営みたいと願うひとは多いです。

しかし、いくら本を読み、プログラムやデザインの知識を身につけたとしても、そうはなれません。

一番早いのは、勉強をするまえに、仕事を受注してしまうことです。

納期や、お客様からのクレームに追い立てられ、じぶんの無能さとつきあいながら、とにかくつくって、強引にでもいいから、納品する。

これを繰り返すことが、独立Webデザイナーにはいちばんの早道だったりします。

トラブルを回避するように、うまく仕事が運ぶようにと思って、予習し、本を読み、ネットで情報をあさり、学校に通い、勉強をしたところで、それはそのひとの「ちから」にはまだなってない。

現場でドロッドロになって、泣いて焦って逃げ出したくなるまで追い詰められて、はじめて知識はそのひとのものになる。

 

スポーツも同じです。

過去に、本を読んで、知識をつけて、柔道が強くなった例はありません。

ただただ修練あるのみ、修練あるのみ、実戦あるのみ、実戦あるのみ。

知識は「補助」にこそなれ「ちから」にはなることは、ありえません。

知識が知識として役立つステージは、入門直後のほんの一瞬だけ。

知識がデカい顔をしていられる世界は、まだまだ未熟で幼稚、形而上的な世界。

成熟した世界に進むほどに、実存の世界に入るほどに、知識の重要性は薄れていってしまう。

 

禅も同じかもしれないな、と思いました。

仕事でさえ、スポーツでさえそうなのに、禅だけが「本で」理解できるはずもない。

只管打坐、っていうのは、そういうことなのかもしれませんね。

だから、1日5分でもいいから、座って「意識から離れる」時間を持とうと思いました。

本を読んで、なるほどね、わかったぞ、なんて言ってるうちは、じつはなんにもわかってない。

わかった気分に、なっているだけ。

それにたぶん「禅がわかった」なんて日は、たぶん一生こないんだと思う。

仕事でさえ、スポーツでさえ、ゴールなんかないし、完全完璧に極めたひともいないのです。

「仕事とはなにか」という問にペラペラと答えられるようなものは、仕事してない。

「柔道とはなにか」という問にスラスラと答えられるようなものは、柔道してない。

 

座禅もたぶん「それをしている瞬間」に、すべてが含まれているのだと思います。

そして、ことばでは決して、語り尽くせないもの。

悟りとは状態やゴールではなく、何らかの「連続体」を示すことなのかもしれません。

それならば「ながいことやってみる」しか、知る道はほかに一切ないのだと思いました。

なぜならば、この世のほとんどすべてのことが、そうだから。

 

 

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