ひさびさに出たなあ。
「あの感覚」。
あの例の、パニック発作に至る感覚です。
あたまのなかがワーっとなって、手足が冷えて、わなわなするような感じで、落ち着きがなくなって、不安になってくる。
以前はこれがしょっちゅう出ていました。
一回出てしまうともう「終わり」みたいなところがあって、はーい、どうぞー、こっちですよー、と、勝手にこころが「あっちのほう」へ移動して、きちんともれなく発作に至ってしまう。
……のが以前だったのですが、最近はこれとずいぶんご無沙汰でした。
「あれ」自体が、あんまり出なかったから。
ちょっと風邪気味っていうのはあるんです。
最近はずっと坊主頭なのですけど、そうだそろそろ散髪しようと思っておとといの夜「ボーズカッター」であたまを刈りました。
ふだんは3mmでやるんですがきのうはなんかぼーっとしていて、うっかり「1mm」でやってしまった。
もみあげあたりをヴィヴィヴィヴィとやって、
「おわ! まちがえた!」
1mmでやると、だめなんです。
風邪引くから。
えー、3mmと1mmってたった2mmじゃん、大して変わりないでしょ、と思うひともいるかもしれないけど、ナメんなよ。
ぜんぜんちがうのです。
1mmでやると「からだの芯から冷える」感じがあります。完全に風邪ひく。
そもそも自律神経が不安定なので、よけいにそうなんです。
やりかけてしまったものだからもうどうしようもないけど、いちおうおまじない的に「てっぺんだけ」残しておきました。
だからぼくはいま予期せず「GIカット」になっています。
つまり、側頭部と後頭部は1mmです。
結局、風邪ひいちゃったんだと思います。
きのうはじゃっかん、微熱が出ましたしね。
こういう若干風邪気味のときにも「あれ」はよく出るのです。
ま、それはさておき、「あれ」が出てしまった!
どどどどど、どーしよーもーヤダー、ほんとにもー、どーしよーー!
……ってウロウロして、「腕振り体操」をしてみたり、ラジオ体操をしてみたり、ヨガをしてみたり、呼吸法をしてみたりしていたんですけど、案の定止まらん。
で、ふと思った。
「座禅すっか」
そういえば、この状態で座禅をしたことはありませんでした。
座禅はほぼ毎日やっていて、最近はたまに飛ばすこともあるんですけど、かれこれ170日近くになります。
いつもは風呂から上がって夜寝る前にやっているので、真っ昼間の「発作準備段階」にやったことはありませんでした。
(こんな状態なら、5分と保たないだろうな)
パニック発作ってえのは「落ち着きがない」の究極形態でもありますから、座禅みたいにじーっとするなんてぜってえに無理。
でもまあ、やってみっか、ということで座ったら、ふしぎなことが起きた。
最初はもうダメかな、とか思ったんですが、だんだんだんだん、落ち着いてくる。
あれ?
おかしいなあ。
ま、いっか。
結局いつもの20分間、なにごともなくできました。
で、そのあと「経行(きんひん)」っていうバカみたいにゆっくり歩くのもやって、気がついた。
「あ。終わってる」
そう、あの「発作準備段階」が、勝手に終了していたのでした。
おかしいなあ。
「あれ」は一回出てしまったら暴れ馬みたいにどうしようもないのに。
ううむ。
やっぱり座禅って「効く」のかもしんない。
座禅って、「効果を求めてやっちゃダメ」って言われてるんですよね。
そういうのは野狐禅っていわれる。
だから今回の座禅はほんとうはイクナイのかもしれない。
座禅に功徳なし、そうしっかり思ってやらないと、禅病とかになったりしてアブナイのだそうです。
ていうかほんとうの意味としては、人はそもそも、もうすでに全員仏様なのだから、悟りは「得る」ものじゃあなくて「感じる」もので、だから目的を持ってやるという方法論じたいが矛盾してる。
「何も考えるな」みたいな硬直したアレじゃなくて、「べつに何も考えなくていいのヨ」っていう、もちっとやさしい感じみたいです。
「あの感じ」は、ハウスダストとかが原因の炎症かなあと思ったこともあるんですけど、やっぱりそれだけじゃあないみたいですね。
だって今朝もいつもどおり掃除しましたし、換気もしています。
やっぱり「思考があばれている」ときに起こるのかもしれません。
というのも、座禅をすると、もうあんまりメンドクセエことを考えなくなるからです。
あれをせねば、これをせねば、あれをしたい、これをしたいっていうのが、スーとおさまる。
スーとおさまって「あれ」が消えたということは、やっぱ「思考の乱れ」が関係しているように思いました。
ま、わかりませんけどね。
べつにいいじゃん。おれ医者じゃねーし。
「あれ」が収まったら、収まってよかったね、でいいじゃん。
どうせそのうち収まるんだし、ほっといても良かったんだし。
「雷が鳴ると怖くてドキドキして、もうどうしていいかわからなくなるんです。どうしたらいいでしょうか?」っていう問いに、盤珪っていうえらい禅のお坊さんは答えて言いました。
「どうしたらいいでしょうか、っていうのがいけない。怖かったら、怖かった、でいいじゃん」
ほんと、そうなんですよね。
「どうしようか」っていう思考の乱れが、結局発作を助長してしまう。
「あれ」が出たら、「【あれ】が出た」で、いいじゃあないか。
どうしようか、っていうのがいけない。
座禅を続けていくと、言っている意味が、すこしだけわかります。