やっぱり、そうなんである。
この方が書いていることは、ぼく自身が自分の状態を長年観察して推測してきたことや、実際にやってみて得た効果と、全く一致します。
ある意味、気持ち悪いぐらいに。
要するに、
「けっこうキツい運動をしなければ、パニック障害は治らないぞ」
という話です。
昨年の頭に、ぼくは急にジョギングをはじめました。
そうすると、それまで抱えていたパニックや自律神経失調証の症状が、びっくりするぐらい改善したのです。
この状態を一言で表現するならば、
「押し返すちから」
が身についたのです。
当時ぼくのブログに遊びに来てくれていた、パニック障害を抱えていらっしゃったある男性も、偶然同じ時期にジョギングを初めておられました。
その方がコメントをくれました。
「ぼくも同じように、まさに『押し返す』ことができるようになりました」
ちょっとした不安。
不可解な恐怖。
心臓が止まるんじゃないかという感覚。
気を失うのではという感覚。
死へのおそれ。
そういったものを、「ぐっ」と押し返すことができるようになる。
これはぼく自身も経験したし、コメントを下さった方も経験した。
記事はもう消えてしまいましたが、この件について、当時ぼくはこのように述懐しています。
「ぼくが感じている動悸やふらつきなどの違和感は、ほんとうは誰でも感じていることなのではないか。
押し返す力が極端に弱くなってしまったせいで、些細な変化に過敏に反応し、それがパニックに至っているのではないか」
今考えてみても、この推測はあながち間違ってはいないように思います。
ただぼくはその後非常に体調がわるくなり、ジョギングは数ヶ月休止することになりました。
そこでウォーキング、ヨガなどの有酸素運動に切り替えていったのでした。
そうすると……あの「押し返す」ちからが、消え失せてしまったのです。
そして、このたび2周間ほど風邪で倒れてしまい、ほとんど運動をしない期間がありました。
そうするとここ最近はパニック発作祭りになってしまいました。
そもそもぼくが初めてパニック発作を起こした当時は、仕事での移動はすべて車という、かなりの運動不足状態でした。
それゆえに、ぶくぶく太り始めていた頃でもありましたね。
ウォーキングやヨガなどに、効果がないというのではありません。
それはそれで、当然良い効果はあるのです。
こころを穏やかに保つ、呼吸を深くする、血行をよくする、脂肪を燃焼させるなど。
しかし、どうしたって、ゆるい運動では身につかないものがあります。
それが「押し返すちから」なのです!
この「押し返すちから」を、科学的に説明すると、こうなる。
なぜ運動がパニック障害の克服に役立つのかという科学的な理由は、運動をすることで心を安定させるのに必要な神経伝達物質、セロトニン、GABA(γアミノ酪酸)が脳内で増え、パニック障害の原因となるアドレナリンを抑制するように働くからです。
また、運動はHPA(交感神経及び下垂体–視床下部–副腎)軸のバランスをとるような働きを結果的に為します。
パニック障害の人の場合、このHPA軸のバランスが崩れているため、自律神経が失調していたり、常時、脳が強い不安や恐怖を覚えやすい過剰興奮状態に陥りやすくなっています。
アドレナリンの抑制。
たぶんこれが、働いていたのだと思います。
だからあの発作や不安を「ぐぐっ!」と押し返し、追い出すことができた。
跳ね飛ばすことができた。そんな気がするのです。
つまり単純に、こういうことかもしれません。
優しい運動をすると、優しくなれる。
強い運動をすると、強くなれる。
パニック障害の改善には、何が必要か?
これを考えれば、行うべき運動は、必然的に決まっていくのだと思います。
パニック障害の克服に必要なのは、こころの強さだ。
不安が起こっても「いいや。絶対大丈夫だっ!」と強く思い、不安や恐怖を、バチーンと張り倒す。蹴り飛ばして追い出す。
パニック発作を起こしている時のじぶんを、客観的に見てみます。
そうすると、よくわかるのです。
腰抜けのビビりになっている
のですね。
これは決して、悪口ではありません。
ちょっとした不快感、変化に、神経質に反応してしまい、おどおどしてしまう。
気の弱い、内的に繊細な、臆病者になってしまっているのです。
「リラックス」だけでは解決できないことがある。
リラックス技術を身につけることじたいは、当然とても良いことです。
しかし日常的に必ずあらわれる些細な肉体の変化を無視できる能力を同時に養わなくては、いくらリラックス技術が向上したところで、発作を収めることはできないのだと思います。
そしてこの無視する能力は、瞑想や呼吸法、イメージトレーニングでできることでもないようなのです。
如実に「筋骨を鍛える」ことでしか、得られないことなのかも。
こんな病気になる人は、もともと優しいひとが多いです。
人の気持ちが理解できて、同情することもできて、常識もあって、人と仲良くすることが自然とできる、喧嘩もイジメもしない。
ちょっとぐらい自分が損しても、手助けをしてあげようと思えることも多い。
つまり、いい人。
そういう人こそが、残念ながら、パニック障害だの自律神経失調症だの、うつ病だのにかかりやすいそうです。
「いい人」をやめずに、治す方法。
それは「強さ」を導入するしか、もう方法はないのだと思います。
「いい人」の欠点。それは「弱さ」であることが多いです。
「いい人」に強さがなければ、ただの犠牲者になってしまう。
悪霊も、気の弱い人のところに集まるといいます。
「弱いふり」をするのはいいけれど、本当に弱いのは、ダメだ。
こころを強くすることは、確かにとても難しいです。
しかし「筋骨を鍛える」ことは、それほど難しくはない。
こころを鍛えることに比べれば、からだを鍛えることは圧倒的に簡単だし、効果も確実で、いちど鍛えたら、そうそう簡単には戻らない。
そして福音が、ここにあります。
「からだを鍛えれば、こころもけっこう強くなる。」
これは医学的にも、証明されたのです。
ヨガも、ウォーキングも、どちらかといえば「やさしくなるための運動」です。
やさしさが原因で起こっている不具合を、やさしさでなんとかしようというのは、やはりすこし無理があります。
やさしさはもう、じゅうぶんに持っているはず。
すでにあるものを足し算するのではなく、欠けているところをまず、補わねば。