マッサージ屋さんなんかに行くと、お姉さんにビックリされることがあります。
「背中の筋肉、すごいですね! 何かスポーツされてるんですか?」
なんか褒められているような気がして、正直ムフフなんだな。
「ええ、その昔格闘技を……」
「そうなんですか! すごーい!」
すごくねえよ。
柔道やってたの、20年前だっつうの。
最近はマジでなーんにもしてねえっつうの。
見栄を張ってウソついたわけじゃないんだけど、なんだかウソついたような罪悪感をいつも感じるのでした。
自分でも不思議なんですよね。
パーティーか何かで自分の背中が写っている写真を見ても、たしかに背中の筋肉が人よりムキムキに盛り上がってるんです。
姿勢はわりといいほうだし中肉中背なので、猫背や肥満で背中が盛り上がってるように見えるんじゃありません。
純粋に筋肉が盛り上がってるんですね。
「背中だけ、ブルース・リー」みたいな。
そのせいなのかどうかはわからないけど、ちょくちょく知らないひとに「自衛隊の方ですか」とか言われることがある。
筋トレとかしてるんなら、わかるんですけどね。
ほんとに、なんにもしてねえの。
ヨガはずっとやってるけど、ヨガで背中がブルース・リーになるっていう話はついぞ聞いたことがない。
まちがいなく、デスクワークなんですよね。
背中の筋肉に負荷がかかって、巨大になっているんです。
デスクワークで背中の筋肉が鍛えられるというのもあまり聞いたことないけど、ぼくはそもそも筋肉がつきやすい体質だし、かつわりと反り身・反り腰タイプなので、もしかしたらそのへんがいろいろ影響して、背中の筋肉がムッキムキになるのかもしれません。
体質と、椅子のせいだったのかもしれないです。
先日、「アーロンチェア・リマスタードフル装備」を思い切って買いました。
使い始めてまだ二日目だけど、確実に感じたことがあるんですね。
「自然に腰が立つ」って、こういうことなのか!
腰や背中の筋肉にチカラを入れなくても、骨盤が立って姿勢が伸びやすいんですね。
意識しなくても、そこそこいい姿勢になる。
で、背中がラクなのです。
あの盛り上がっているあたりの筋肉に、あまりチカラが入らないんですね。
だから思ったんです。
ぼくの背中がブルース・リーなのは、椅子のせいだったんじゃないか、って。
そこで、ぼくの椅子遍歴をまとめてみました。
■最初の椅子:ふつうの事務椅子(ホームセンターで3,000円ぐらいで購入)
※ 写真はイメージです
べつに何が悪いとかはなかったんですけど、ぶっ壊れました。1年ほどで。
やはりデザイナーという仕事にとっては耐久性が低かったみたいです。
■第2期:社長椅子っぽいやつ・近所の家具屋さんで2万円ぐらいで購入
※ 写真はイメージです
夏はすげー蒸れます。
あとクッションがどんどんヘタってきて、背もたれの腰のへんが凹んできて、凭れると姿勢が悪くなります。
これも1年半ほどでガタガタ言い出して不安定になり、廃棄しました。
■第3期:メッシュチェアー:ネットで2万円弱で購入
※ 写真はイメージです
背中がメッシュなので、ムレがなく快適でした。
でもこれも1年ぐらいでガタつきはじめ、座面の布が破れてネジが飛び出してきて、座れなくなってしまいました。
背中のメッシュもヘタってきて、凭れるとかえって背中が丸くなります。
これも最終的に壊れてしまって、廃棄処分になりました。
■第4期:デュオレスト・ニトリで2万円ほどで購入
これは、かなり良い椅子で、3年ほど保ったと思います。
しかしこれも背もたれのゴムの部品がバカになってきて、ぐにゃぐにゃになり、凭れると逆に腰が丸くなるようになりました。
座面の合皮もボロボロになり、3年ほどで廃棄となりました。
■ 第5期:一時使用としてのつなぎ・ニトリで3000円ほどで購入
デュオレストが壊れたのと、一時的に自宅外で仕事をすることになったので購入した椅子です。
これはデザインだけの、事務用でもなんでもないやつです。
この椅子で仕事をするようになって、自律神経がおかしくなってきました。
約1年、使用しました。
■ 第6期:バランスチェアー・ネットで7000円ほどで購入
椅子と自律神経の関係性に気が付き、骨盤が立ちやすいと評判の椅子を使ってみました。
たしかに、姿勢はまっすぐになりやすく、腰が楽になるような気はします。
でも、盲点があります。
この椅子は長時間使用するには向いていません。ヒザを痛めてしまうのです。
体重を座面だけでなくヒザでも受けるためです。
このヒザの痛みはまさに「苦痛」で、なみだが出てくるぐらいです。
またなぜか、姿勢はまっすぐなはずなのに、肩や背中が凝る。
これは短時間の使用ならとても良いですが、ぼくのようなデザイナーとかプログラマーとか、長時間椅子に座る人はやめといたほうがいいです。逆にからだ壊します。
■ 番外:バランスボール・ネットで3,000円ほどで購入
アカーン!
これは、全然ダメでした。
トレーニング目的なら、ふつうにこれでトレーニングすべきです。
「トレーニングとデスクワークを一緒に」などという、怠惰な気持ちがあるようじゃあ、どうせトレーニングは長続きしません。
やはりバランスボールはトレーニング器具なのであって、椅子ではありません。
これも長時間使用は避けるべきです。へんなところに負荷がかかって、かえってカラダ壊します。
■第7期・アーロンチェア(廉価版)・ヤフオクで4万円程度で購入
これまでに使ってきた椅子のなかで、最もマトモな椅子です。
3年半ほど使用しましたが、満足感は高かったです。
中古でしたがまったくヘタりはありません。
ただ、なぜかこの椅子に座ると足を組んだりあぐらをかいてしまいます。
背中が丸くなってしまう。
そのせいでかえって背中のコリが強くなるというのがありました。自律神経も、この椅子を使うようになってから悪化したように感じますが、それは椅子というよりは単純に仕事量が増えたからかもしれません。
■ 第8期:アーロンチェアリマスタード(フル装備)・ネットで20万円程度で購入
あたりまえだけど、ぼくの椅子人生で最高の椅子です。
アーロンチェアフル装備がよくできているのは、引力(体重)とバネの反発力を拮抗させ、「ポスチャーフィット」っていう部分で骨盤と背骨を下から支え上げる仕組みなんですね。
べつに根性据えて気合入れて骨盤を屹立させなくても、背筋力を使わなくても、姿勢がまっすぐになりやすい。
これは廉価版にはない機能で、ちょっとした感動でした。
「まるで空気に座っているような」それはわりと大げさではなくて、からだの各部に偏った負荷がかからないので、とても楽に感じます。
結局のところ、ぼくの背中の筋肉が異様に盛り上がったのは、
「筋力で背筋をまっすぐにしようとしている」
ということに尽きるようです。
体型の関係だと思いますが、背中をまるめた状態が非常につらくてまっすぐか、やや反っているぐらいのほうが楽に感じるのです。
猫背になって前かがみが続くと、息苦しくなってダメなのです。
なので、デスクワークで疲労して腰が丸くなってくると、筋力で背中をぐっと伸ばすことを無意識にしていたようです。
使用していた椅子のすべてがこの「丸くなる腰」を一切サポートしてくれなかったので、自前の筋力で頑張っていたわけですね。
ぼくはデスクワークをしながら「広背筋の自重トレーニング」をしていたわけです。10年間。
そりゃあ、背中がブルース・リーになるわなあ。
思うに、ぼくの自律神経がおかしいのも、この「背中ブルース・リー」も関係あるかもしれません。
息苦しいだの、動悸がするだの、のぼせるだの、ふらつくだの。
背中あたりの背骨には心臓とかの神経も通っているらしいから、ここを酷使していると心臓関係に過度な刺激がいって、動悸とかが起きやすくなるかもしれませんね。
心臓とか肝臓、胃のツボも、広背筋周りに集まっています。
猫背になってもそれに「逆らわない」ひともいます。うちの娘なんかが、そうですね。
そういうひとは、異様な広背筋の盛り上がりということにはならないのかもしれません。
ぼくは猫背だとなんか苦しく感じ、気分もダメになっていくタイプなので、疲れて猫背になると筋力で「抵抗してしまう」のだと思います。
筋肉をずっと使い続けていると、神経もおかしくなるはずです。
筋肉の萎縮は、つまり「緊張」ですからね。
医療器具ではないですから、アーロンチェア・リマスタードフル装備で自律神経が良くなる……とまではさすがに期待しませんが、すくなくとも「背中ブルース・リー」ぐらいは治るんじゃないかな、と思っています。