さいきん、読書運がいいなあ。
これも面白い本でした。
日本語はどこからきたのか―ことばと文明のつながりを考える (中公文庫)
たぶん小学生向けに書かれた本だから、すごく読みやすかったです。
で、何よりオモロかった!
なんとなーく日本語って朝鮮語とかそのへんに近いんじゃないかなと思っていました。
近いし、顔も似てるしね。
韓国語で「1」は「ハナ」というそうで、「ハナからそういってるだろっ!」みたいに日本語でもハナは「最初」みたいな意味がある。
疑問形では「~~か?」がつくのも似ているし、やや丁寧な表現は「~~よ」がついたりして、文法も似てる。
東北地方のものすごくなまった方言を聞いていると、ときどき韓国語みたいに聞こえることもある。
でも残念ながら、比較言語学的には日本語と朝鮮語は同族とは言えないのだそうです。
単語が似ているのは、共通の中国など近隣文化との交流が影響している可能性もあって、単語が似ているからといってそれが必ずしも同族とは言えないんだとか。
「見る」「走る」「上」「下」みたいな、日常で頻繁に使うことばを「基礎語」というそうで、この基礎語は数千年変わらないことも多いから、そのへんが合致していると同族である可能性が高いらしい。
ただし、数個だけ似ていてもだめで、300以上同様の構造の単語がないといけないのだそうで。
そのへんの厳しい条件をクリアして、単語や文法の類似性から探していったところ、なんと意外なことで「タミル語」が日本語のルーツである可能性がとても高いのだそうです。
つまり、インドの南部ですね。
え?
マジ?
日本人て、インド人なん?
だからみんな、カレー好きなん?
わしゃあ、ナマステなん?
スーリヤ・ハリオーム・ハレクリシュナなん?
・・・って思ってしまうけど、まあそういうことでもないんでしょうね。
これはこの本とは関係ない話だけど、日本はどうやらインドやフィリピンなどの南方から来た人と、バイカル湖周辺の中東から来た人、中国や朝鮮半島、モンゴルなどのモンゴロイド、ロシアなど北方系白人などの、ぐっちゃぐちゃの混成民族国家らしい。
だからおなじ言語を使っていても、必ずしもその人が言語ルーツの民族と同じDNAを持っているとは限らない。
この本でも「日本語とタミル語が同系統であることは証明できたが、民族が同じかどうかなど、そのほかの疑問に答えるものではない」と明記されています。
ちなみに、みんな大好き「カレー」は、もともとタミル語で、「辛い」という意味らしいです。
「からい」と「カレー」、似てますね。
じっさいこれは、比較言語学的に「似ている」と言って良いのだそうです。
びっくりしたのが、日本の和歌と同じ「5・7・5・7・7」の音節リズムが、タミルの古い歌にも使われていたことですね。
個人的に「歌」っていうのは音階を使ったり韻を踏むのがスタンダードな気がしていて、なのに音節リズム、それも5・7・5・7・7という1種類だけのリズムが「歌」とされているなんてかなり特殊なんじゃないのか、日本以外ないだろうなあ、なんて思っていたのです。
でも、あったんだなあ。タミルに。
科学的には証明されないけど、太古の昔にタミルあるいはその近隣にいたタミル語を話すひとたちが、日本に移動してきたのかもしれませんね。
なんか雄大だなあ。
で、タミル語の起源をさかのぼっていくと、チグリス・ユーフラテス文明に関係してきて、シュメール文化とか、そのへんのルーツが想定されるんだそうです。
そしてこのあたりの言語は、トルコ、モンゴル、ツングース、フィンランド、ハンガリーなどの言葉に発展していった可能性もあるらしく、もしそうだったら「日本語とフィンランド語は遠い親戚」みたいなことになるなあ。
じっさいにこのへんの「アルタイ語系」は、文法は日本語と似ているところがあるそうです。
こういう本は、いいなあ。
ロマンがあるだけじゃなくて、気色のわるい民族偏向思想にカツを入れてくれるよね。
韓国人や中国人はクソだのと、なんかバカな弱い犬みたいにキャンキャン吠えているやつらがいるけれども、ほんとうにバカに見える。
日本人は優秀だとかいって、犬がじぶんの糞を食うような自己愛をいうやつらがいるけれども、ほんとうに変態に見える。
ずっとずっと遡れば、どこかでみんなつながっているかもしれないのに。
我は誇り高き大和民族なりとかエラソーなこと言ってても、じつはインド人かもしれねんだ。
じっさい、武士の家系で華族に近い知り合いがDNA検査をしたところ、何%かは「バイカル湖周辺民族」で、何%かは「朝鮮人」だったらしい。
そんなもんだ。
ほんとに、マジで、お隣同士みんな仲良くすればいいのにね。
プライドを持つのは結構だけど、なんか、もう、うぜえよ。