姿勢原理主義の弊害

アーロンチェアを使い始めて3日めだけど、仕事で使うのは今日が初日です。

昨日と一昨日は休みだったので、せいぜいこのブログを書くときにしか座っていません。

 

アーロンチェアに座って仕事をしてみて、意外なことに気が付きました。

ぼくは姿勢原理主義者だっかかもしれない。

 

ほかの椅子との決定的な違いは、「どこも力まなくても、ある程度姿勢が正しくなる」ということです。

腰がぐっと立って、そんなに頑張らなくても背筋が伸びるんですね。

だから楽だし、姿勢の悪化で呼吸が浅くなったり、腰を痛めたりする可能性が低くなる。

 

しかしぼくは、長年腰をしっかりサポートしてくれない椅子を使っていたせいか、せっかくのアーロンチェアに座ってもクセでつい力んでしまうのです。

いっしょうけんめい、腰にチカラを入れてしまう。

いやだから、もうそれしなくていいんだって!

だってほら、チカラ抜いたってちゃんとまっすぐになってるじゃんか!

と、いくら腰ちゃんに言い聞かせても、いうことを聞いてくれないんだ。

「だめでっす! 骨盤を立てないと、背中丸くなりまっす! 腰痛めまっす! 息が苦しくなりまっす!」

頑固一徹なのだなあ。

てうか、バカだなあ。

長年のクセとはおそろしいものです。

 

アーロンチェアの場合、むしろ腰は脱力したほうが自然に良い姿勢になるようにできているんです。

だから「良い椅子」といわれるんだと思います。

実際そうしたほうが、ほんとに姿勢はまっすぐになります。

しかし長年からだに合わない椅子を使っていると、腰に力を入れる癖がついてしまうみたいですね。

せっかくの高機能を無視して「自力で姿勢を保持しよう」というパトスが止まらないのであります。

ついつい、腰や腹筋に力を入れてしまう。

もったいない!

例えるなら、ものすごく貧乏な生活を長年送っていた人が、宝くじに当たって大金持ちになったのに、どうしてもチラシの裏でメモしてしまう、そんな感じですかね。ひどい例えですけど。

これはしばらく使って慣れていかないと、腰の力は抜けないかもしれませんなあ。

 

ぼくは何かにつけて力んでしまう傾向があります。

とくに腰や腹筋に、強い力を込めてしまうのです。

そういう人って、けっこう多いらしく、性格的なことも関係しているんだそうです。

なんでも自力で、人を頼らず、甘えずに頑張らなくちゃいけない!

そういうふうに考えてしまう人は、力みが強い傾向があるんだそうです。

またそんな人にはTCH(Tooth Contacting Habit)といって、奥歯を噛み締める癖で舌に歯型がついている人も多いそうです。

長男長女に多いという話も聞いたことがあります。

 

力むのは確かに性格の問題もあるだろうけど、じつはもっと単純なことで「姿勢のクセ」も要因のひとつになっているような気がします。

姿勢原理主義、みたいなのがあるんです。

骨盤が後ろに寝てしまうと腰椎が後弯してしまって、猫背や円背になりやすいです。

だから骨盤は立てないといけないのです!

骨盤なのですっ!!

骨盤をーーーッ! 立ててーーーッ! くださいーーーッ!!

背骨のぉーーーッ! 歪みをーーーッ! 取らないとぉーーッ! いかーん! のでーっすッ!

みたいな。

これと同類に、「仙骨原理主義」もあります。

 

まあ、確かにそうなんだけれども。

でもこの原理主義に傾注してしまうと、「骨盤が倒れていることが気になってしょうがない」ってなっちゃうことがあるんですよね。

姿勢神経症」といってもいいかもしれません。

じぶんの姿勢がすごく間違っているような気がして、必死で骨盤を立てようと頑張ってしまう。

ヨガ教室にも、そんな生徒さんがけっこういます。

骨盤骨盤骨盤骨盤、仙骨仙骨仙骨仙骨、坐骨坐骨坐骨坐骨、まっすぐまっすぐまっすぐまっすぐ。

まるで呪文みたいに言ってる。

 

まあ、そのうちの一人が、ぼくなんですけど。

骨盤が後ろに倒れて腰が丸くなることを、けっこう恐れてる。

だからつい、腰や腹筋にチカラが入っちゃうんですね。

胴体の筋肉が緊張しっぱなしだから腹圧が高くなって、のぼせたりするし、呼吸も浅くなる。

「姿勢はけっこう正しいのに呼吸が浅くて、のぼせぎみで、肝が座ってない」

そんな状態になってしまうんですね。

姿勢はいいのに、姿勢がわるい人の症状があるという、わけがわからない状態だから「まじめな性格のせいじゃないか」「神経とかに問題あるじゃないの」とか言われる。

 

んー、たぶん、そうじゃないんだな。

姿勢姿勢姿勢姿勢、むちゃくちゃうるさく言われて育ったせいもあると思うんです。

コシコシコシコシ、むちゃくちゃうるさく言われて育ったから。

姿勢が悪くなると、渾身のビンタとか食らったりしたものなあ。

ぼくが姿勢ただしいのは、努力と教育の賜物であります。

見た目は姿勢ただしいけど、内側は「緊張しまくっている」んですね。

まあ我が家系は武士と軍人の末裔なので、しょうがないですけれども。

 

そもそもの話、リラックスして自然な状態を「まちがえている」と思うことから、いろんな神経症がスタートするんじゃないのかなと思うんですよね。

ありのまま、そのまま、楽な状態を、「だめ」とする。

だめなら、それを正さないといけませんね。

だからずっと、からだの筋肉のどこかに、チカラが入っている。

「脱力が苦手なんです」

よく聞く話だし、ぼくもそうだけど、苦手も何も「脱力した形状は間違いである」と洗脳させてきたんだから、しょうがないよね。

そりゃそうなるわ。

脱力が苦手なんじゃなくて、脱力を許せないんですよね。

だってガキのころから、脱力することを許してもらえなかったから。

左右対称、垂直、水平、そんな数学上の幾何学的形象を人体に敷衍させようという、幼稚な思想に汚染されてしまったんです。

自然って、ほんとは全部ゆがんでるんですよね。

完全なまっすぐなんて、数学の世界にしか存在してません。

きれいなまあるいお月さまも、ほんとはアバタだらけのデコボコなんだ。

不自然なことをじぶんのからだに強要してきたから、不自然にいつも緊張しちゃうんでしょうね。

ほんとは、そのままでいいのに。

多少ゆがんでる方が、ただしいのに。

 

アーロンチェアは、脱力しないと、いい姿勢になれません。

だからこの椅子でぼくの「不自然な力み」が治ればいいな、なんて期待しています。

このクセを抜くのには、かなり時間がかかりそうですけど……

でもぼくはけっこうケチくさいところがあるから、

「脱力しないと、20万円の椅子がもったいない!」

と思って、いっしょうけんめい脱力しようとするかもしれません。

 

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